レベル16 服従の少女たち【謎の施設に監禁され、教育される少女たち。異様な空間だけれど、現実世界のメタファーでもある】 [好き放題の映画レビュー]

みなさん、こんにちは!

コロナで失職して途方に暮れていましたが、
このたび、無事に失業保険を受給できることになりました!
よかったああああああああああああああああああ!

ご機嫌でハロワから帰宅して、
お昼寝の前に映画を観ることにしました。
いいご身分でしょ?
もうね、コロナのせいで仕事なんて全然ないから、
慌てないことにしました。

さて、
『レベル16 服従の少女たち』という映画を観ました!



孤児院で暮らす少女たち。
少女たちは、養子縁組が成立する日を夢見て、
孤児院内の学校で学んでいます。

が、そこは孤児院と言うよりは
刑務所か精神病院の閉鎖病棟のよう
無機質で、食事をするためのテーブルと椅子すらなく、
少女たちは床に座って、「餌」のような食事を摂っています。

学校では「清潔」であることが何よりも重視され、
顔を洗うのが少し遅れただけで懲罰の対象となります。
学課を終えるごとにレベルが上がっていき、
ついに最終レベルであるレベル16に到達しました。
孤児院で暮らす少女の一人であるヴィヴィアンは、
同室の少女から、ビタミン剤を飲まないように言われます。
ビタミン剤を飲まなかった夜、ヴィヴィアンはなぜか眠れませんでした。
そこに守衛が部屋に入ってきて、
眠っているふりをしているヴィヴィアンを抱えて部屋から連れ出しました。
もう一人の少女と一緒にある部屋に寝かされたヴィヴィアンは、
恐ろしい事実を知ってしまいます・・・・・・・。


といった感じで物語は始まります。
アマプラで配信されていたので、なんとなく観てみました。
たまには、前情報なしで映画を観るのもいいかなと。



結論としては、なかなか面白かったです。
こういう、謎の施設に監禁されている系の映画って、
クソみたいなオチのことも多いような気もするのですが、
この映画はそうでもなかったです。
というか、オチそれ自体がそれほど重要ではない映画かな。

なぜ少女たちが施設に監禁されているのか、
施設の目的は何なのか、最後の最後まで分かりません。
その「謎」の解明を追うことで、
物語を楽しめるのも、この映画の魅力の一つだと思います。

ですが、
私がこの映画を面白いと思ったのは、
少女たちを監禁している施設は、結局実社会と変わらないのではないか、
そう思ったからです。
この施設を運営している「先生」は、
少女たちに従順さ、素直さを美徳して教えこんでいます。
「怒り」を持つことは少女として「悪徳」であり、下品な行為とされます。
そして、その一方で、少女たちは「文字」を教えられていません。
彼女たちは文盲なのです。

反抗的な態度をとる者、規律を乱す者は、
内部から密告者が出るように少女たちは教育されています。
理不尽なルールを守るべき理由は、
それが女性としての「美徳」だから。
あるいは、「学校」は「家族」であり、
「家族」としての連帯がそこにはあり、
「家族」に対しての「恩」がそこにはあるからなのです。

これまで女性たちが実社会で受けてきた待遇と何が違うでしょう。
女性は長い間、言葉を奪われ、
「女性らしさ」を理由に
様々な行動を規制されてきました。
「家族」のためだからと、主体性を持つことを否定され、
「怒り」を封じ込められ、
仮に「怒り」を持つとしても、
それは女性を被差別的な立場に追い込んでいる制度そのものに対してではなく、
同じ女性に対して怒りを抱くような「内ゲバ」が
制度そのものに内包されている、言うなれば地獄。
差別されている女性が、さらに女性を差別するという二重の差別構造です。


『レベル16 服従の少女たち』という映画は、
架空の施設を描いているように見えて、
実は実社会において女性が置かれている立場、
女性を支配してきた差別的な社会構造を描いている、
私はそう思いました。

ネタバレはしたくないのでぼんやりと書きますが、
そもそも彼女たちが監禁されている理由そのものも、
「女性らしさ」に起因しているんですよね。

私は、「女性らしさ」のすべてが強要されたものだとは思っていません。
たとえば、
メイクをすることを女性は強要されている、
だから、女性全員がメイクをすることを拒絶するノーメイクデーを作ろう、
なんて主張は大嫌いです。
だって、私はメイクするのが大好きだから。
メイクをすることを自分で選んでいるから。

いやいやいや、自分で選んでいるように見えて
実は気づかないうちに強制されているんだよ!!!
っていうツッコミもあるかもしれませんが、
そのツッコミ自体、
女性は自分で考える頭もないという差別的な先入観に基づいていますよね。

今の女性はそこまでバカじゃないと思います。
問題は、
女性でも男性でも、それ以外の性の人にでも、
何でもその人の自由に合わせて選べる選択肢が与えられている環境を作り上げることですよね。

メイクをして仕事に行きたい人はしていけばいいし、
したくない人はしないで行ってもいい、
どちらを選んでも批判されないような、
どちらか一方に全員習え!ってなるような
同調圧力が発生しないような世の中を作り上げることが
誰にとっても暮らしやすい社会なんじゃないのかな。

とまあ、
月曜の昼間からいろいろ考えた次第です。

ほんでは、また!



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