バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) [好き放題の映画レビュー]

みなさん、こんにちは!
腐りかけのりんごっちです!



眠い、眠い、眠い!!
今、仕事中なんですが、
眠くて意識が遠のきます。
コーラ飲んでも飲んでも眼が覚めません。
というわけで、
ブログを書こうと思います。
もうそうすると決めたので、
止めてくれるな、おっかさん。



やっとこさ日本公開されたので、
観てきましたよ、『バードマン』






アカデミー賞で監督賞・作品賞など数多く受賞したことでも
知られている作品ですが、
私は初めて映画館で予告を観たときから、
もう観たくて観たくて仕方ありませんでした。
だって、
めっちゃかっこいいじゃないですか!


かつて『バードマン』というヒーロー映画に主演し、
一躍人気者だった俳優リーガン
すっかり落ち目になったリーガンは、
ブロードウェイに挑戦し、
本格的な舞台劇の演出家兼俳優として再起を懸けます。


娘のサムは、リーガンの付き人を務めていますが、
つい最近、麻薬厚生施設から出てきたばかりの、
ジャンキーです。
サムは、父親がかつての栄光を捨てられず、
その一方で、今の自分を世間から否定されることを恐れ、
FBやTwitterなどのSNSに手を出さないことに批判的です。
サムからすれば、
インターネット上に情報を流さないリーガンは、
【どこにも存在しない人物】なのです。


リーガンには超能力があり、
その超能力を使って、気に入らない舞台出演者に重傷を負わせ、
舞台から降板させます。
代わりに出演することになったのが
舞台経験豊富なマイク・シャイナー
俳優としては実力のあるマイクですが、
かなりクセのある男です。


何とか舞台を成功させようとするリーガンですが、
マイクの予期せぬ身勝手な行動などで、
プレビュー公演も波乱続きです。


リーガンは自らに訴えかけ、自らを嘲り、時には自らを鼓舞する
【バードマンの声】に悩まされながらも、
舞台の本公演に臨むのでした・・・・・・・。



うーん、まとめるのが難しい('A`)
というのも、
この映画、解釈の多様性を許容するんですよね。
つまり、
色々と解釈ができる映画なんです。


他の方のレビューなんかを見ると、
意味が分からんなんて感想もちらほらありましたが、
それほど意味が分からない映画でもないし、
100%明確な意味を押しつけてこないからこそ、
この映画は面白い、
私はそう思います。
つまり、私は『バードマン』大好きです



意味が分からないという人は、
超能力と【バードマンの声】
引っかかるのかもしれませんね。
特に超能力。
最後まで何で超能力があるのか、
全く説明がありませんから。


ちょっと私の解釈を示したいと思います。
私は、この映画を
中2病のオッサンの物語
と見ました。


リーガンは映画界ではすでに【終わった人】です。
あの人は今、って感じの人です。
でも、自分には何かができる、きっとまだチャンスがある、
そう信じて、
本格的な舞台劇に挑戦しようとしています。
しかし、そう簡単に行くはずもなく、
批評家からはこき下ろされます。
映画がダメだから演劇だ★というリーガンの発想は、
そもそも演劇の専門家から見れば
ふざけんじゃねえというものなわけです。



リーガンに聞こえる【バードマンの声】は、
リーガンを苦しめている過去の栄光の象徴です。
醜く太ったリーガンは、
もうヒーロー映画に出演することもできないし、
だからといって、
他の映画のオファーが来るわけでもない。
バードマンとして成功した過去は、
それが華々しければ華々しいほど、
リーガンを苦しめることになっているのです。
しかし同時に、
バードマンであったという過去は、
リーガンの唯一の希望でもあるわけです。


【自分は特別な人間のはずだ】という考えは、
リーガンを演劇界へと向かわせるわけですが、
それと同時に、
【超能力】という妄想も生み出すことになるのです。
そう、
私はリーガンの持つ【超能力】を
リーガン自身の妄想であると解釈しました。
超能力なんてあるわけないでしょう。
妄想に耽った中学生が、
自分には邪気眼が備わっていると思うようになるのと、
同じようなもんです。



本当にかつての名声を取り戻したいのなら、
サムのいうようにインターネットを利用するなり、
今の時代にあった方法を選ぶべきです。
が、リーガンは、
自分という存在を配信して世間から無視されることを
恐れています。
そこで、
レイモンド・カーヴァーの戯曲を舞台化するという、
ちょっと時代からはズレた手段を取ってしまうのです。
本気で世間にぶつかることができない
リーガンの臆病な側面がここに表れていると言えるでしょう。



自分は特別な人間だ、
自分はスーパーマンだ、
そう思いながらも、世の中に出ることを恐れる、
まさに中2病ですよね。
いいオッサンなのに中2病
でも、自分にもそんな側面がある、
多くの人がそう思うのではないでしょうか。
だからこそ、
この映画は面白いんです。
ニヤニヤ笑いながら観てしまうんです。



セリフの中に、多くの実在の俳優の名前が出てきます。
ライアン・ゴズリングとかファラ・フォーセットとか、
ジャスティン・ビーバーも出てきたなあ。
あまりアメリカの俳優に精通していない人は、
ピンと来なくて、
ここでも意味が分からないと思ってしまうかもしれません。
が、
実在の俳優の名前を出すことによって、
リーガンとの格差がより明確になり、
リーガンの中2病具合がより際立つことになっています。


と、同時に、
ヒーロー映画ばっかり作っている最近のハリウッドに
皮肉をぶつけている面もあるのでしょう。
たしかに、最近のハリウッド映画、
やたらとマーヴェル系のヒーロー映画ばっかりですよね。
ドーン! バーン! ズバーン!
みたいな分かりやすい映画ばっかりが受けている現状を
批判する意味もあるのだと思います。


物語の中ではリーガンの舞台への挑戦というのは
【逃げ】として描かれているわけですが、
そもそも、
本格的な演劇に取り組むことが【逃げ】になるということ自体、
正常な状態ではない、
演劇界、映画界は
エンターテイメントに走りすぎている

そういいたいのではないでしょうか。



物語の結末をどう解釈するかも、
観る人によって解釈が分かれていいと思います。
私は、リーガンは自殺して死んだ
そう解釈しました。


ちょっとネタバレになります。



舞台の上で自殺しようとしたのに生きながらえ、
舞台をメチャメチャにしたはずが大絶賛される、
リーガンは
周囲から【誤解】されて【成功】するという、
何とも皮肉な事態に陥ることになります。
世間と本気で向き合うことが恐いリーガンは、
舞台の上で死ぬことで、
文字通り、舞台と心中しようとしたわけです。
批評家の期待する演技ができないと思ったリーガンには、
そうすることしかできなかったのでしょう。


ですが、リーガンは生き残ってしまいます。
頭を撃ったはずなのに何故か鼻が吹き飛んで、
別人みたいな顔になって生きています。
(ここは大爆笑しましたwwwww)
舞台が大絶賛されたことを聞かされたリーガンですが、
舞台の上で自殺する以上のことを
この先やることができるかというと、
もうできるはずありません。
ここでリーガンは改めて逃げることを選択した、
私はそう解釈します。


病室にリーガンがいないことに気付いたサムが、
窓の下を見て、
その後空を見上げ、何かを見つめて笑みを漏らしますが、
超能力もない、バードマンでもない、単なる人間のリーガンが
空を飛べるはずありません。


サムが空を見上げるのは、
リーガンが死によって解放されたことを
示しているのかもしれません。



まあ、一回しか観ていないので、
本当はもう一度観てから色々考えたいところです。
とりあえず、一度観た段階の解釈であると思って下さい。
細かいところ、見逃している可能性、多分にあります('A`)



ところで、
マイク・シャイナーを演じているのは、
エドワード・ノートン
この人は怪優ですよね〜。
『真実の行方』を観たときから、
この人の胡散臭さが気になって仕方ありません。
『バードマン』では尻丸出しになってました。
なんというか、中年の尻でした・・・・・・。
もうちょっと鍛えようよ・・・・・・・('A`)



私は『バードマン』すごく好きで、
また繰り返し観たい、そう思っているのですが、
こういう映画はあまり一般には受けないんですかねえ。
公開してすぐの週末に行ったのに、
劇場はかなり空いていました。
田舎のシネコンだからですかねえ・・・・・・。


『バードマン』なんかよりも、
マーヴェルのヒーロー映画の方が興行的に成功する、
なんというか皮肉ですよねえ・・・・・・・。


音楽もすっげえかっこいいし、
本当にオススメの映画なんですけどねえ・・・・・・。
アカデミー賞の発表からすぐの公開なら、
もうちょっと客も入ったのかもしれない。
米倉涼子に「さっすが作品賞★」とか言わせてる段階で、
なんかもう・・・・・・('A`)って感じですよねえ・・・・・・。



では、この辺で失礼します。
やっと眼が覚めました!
働きます!
メルシーボークー!

パーマン2号も遅れるな〜!




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ファミリー・ツリー [好き放題の映画レビュー]

みなさん、こんにちは!
腐りかけのりんごです!



いやあ、寒いですねえ。
4月も半ばだってのに寒い!
ちっともコートがしまえません。
黒い分厚いタイツを履くのも季節感無視してる気がするし、
だからといって薄いタイツじゃ寒いし、
どうしろって言うんでしょう!!



ところで、
年を取ると寒さが身にしみるって言うじゃないですか、
若いときは寒いは【寒い】でしかなかったんですが、
段々寒いが【痛い】になってきて、
最近じゃあもう、寒い=【気持ち悪い】ですわ!
我慢するとかしないとかじゃなく、
具合悪くなっちゃうんですよねえ〜。
うけるー! アハハハハ〜!



さて、映画の話をしようじゃないか。
『ファミリー・ツリー』を観ました!





ずっと観たかった映画です。
偶然にも、
先日ご紹介した『サイドウェイ』と同じ
アレクサンダー・ペイン監督作品で、
こちらもまた、
アカデミー賞脚色賞を受賞しています。


舞台はハワイ
カメハメハ大王の末裔に当たるマットは、
先祖から受け継がれた広大な土地を所有しています。
が、
法律により所有し続けるのは難しいので、
その広大な土地を売却するべく、
親族と協議を続けています。


その一方で、マットの妻・エリザベスが事故により
意識不明に陥ります。
意識を回復する見込みはないため、
生前の妻の意思に尊重し、
生命維持装置を外すことにしますが、
エリザベスが生前不倫をしていたことが明らかになります。


それまで仕事一筋に生きてきたマットは、
二人の娘とどう接していいのか分かりません。
特に長女のアレクサンドラは、
母親の不倫現場を目撃した経験があるため、
死を目前にした母親に複雑な感情を抱いています。
娘たちとの歪で不器用な生活の中、
マットは妻の不倫相手に直接会いに行くことにします・・・・・・。



『ファミリー・ツリー』というタイトルから、
何というか、
何代にもわたる一族の大河ドラマを想像していたのですが、
そんな重苦しい映画ではなく、
コミカルな要素も多分に含む現代劇でした。
ハワイが舞台という段階で、
非常にカラッとした空気が流れているのが
ご想像いただけるかと思います。



私もハワイは2回だか3回だか行ったことがあるのですが、
あくまでも観光地として訪れただけで、
そこに代々暮らしている人の生活など、
考えてみたこともありませんでした。


物語の中で、
マットが売却しようとしている広大な土地には、
自然そのものの豊かさが残っています。
売却することで、
何とマイクには数億の金が入ることになるわけですが、
売却先として浮上しているのはリゾート開発会社で、
売却後は自然が破壊されることはまず間違いないわけです。


マットは妻の不倫、そして妻の死という
あまりにも予想外すぎるできごとに遭遇し、
改めて自分のルーツというものを思いやることになります。
仕事に夢中で、
自分の娘とすらろくに口も利かなかった男が、
娘と旅行をし、娘とともに行動し、
なぜ自分の知らないところで妻が別の男と会っていたのか、
その理由を考えるようになるのです。


家族との関係、自らのレーゾンデートルを考えるなかで、
マットは自分という存在を作り上げているもの、
自分という存在の根幹には
ハワイの豊かな自然、
あるいはハワイに生きた先祖の存在があることに気付きます。
この感覚は、
由緒ある家柄なんかで育ったわけではない私には、
ちょっと分かりかねるものではあります。


でも、なんといいますか、
長い歴史の流れの中に自らを置いてみると、
今を生きている自分の悩みが、
非常にちっぽけなものに思えるという感覚は分かります。
妻を失い、
しかも妻が自分を裏切っていたという事実を知ったマットは、
自分という存在を大きな時の流れの中に解き放つことにより、
これから先の人生を生きていく希望を
辛うじてみつけたのかもしれません。



このあたり、ちょっとテーマが捉えにくく、
妻の不倫・死と先祖代々の土地の売却とを、
もう少し明確に関連づけて描くこともできたのではないかとは
思います。
ですが、
私はこの『ファミリー・ツリー』という映画が大好きです


ジョージ・クルーニーのちょっと間の抜けた感じの演技、
(ジョージ・クルーニーって面白いですよね!)
緩やかに流れるハワイアンミュージックは、
ともすれば難解になりがちなテーマを
ゆる〜く仕上げています。


さらに、
この映画の味付けを決定づけているのが、
アレクサンドラの友人・シドの存在です。
いやもう、
このシドという人物の造型によって、
この映画は成功していると言っても過言ではありません。
最初登場したときには
だらしない今どきの若者なんですけれど、
次第に愛おしく思えてくるんです。
これは実際に観てみて下さい。
いやもう、シド大好き!


マットもまた、
最初はシドを不愉快に思っていたのですが、
次第にシドに心を許していきます。
もしかしたら、
シドもマットのファミリー・ツリーに
名を連ねることになるんじゃないかとか、
そんな空想すらしてしまいます。


ファミリー・ツリーは血縁関係によっても
作り上げられるけれども、
赤の他人を家族として招き入れることによっても
さらに拡大していくんですよね。
マットが自らのルーツを確認する行為というのは、
同時に特に血縁関係にあるわけでもない他者との
関係を改めて見直すきっかけになるのです。



・・・・・・と、ここまで【家系図】という意味で
「ファミリー・ツリー」という語を用いてきましたが、
実はこの映画の原題は『The Descendants』なんです。
直訳すると『子孫』ですね。
『ファミリー・ツリー』という邦題は悪くないとは思いますが、
『The Descendants』の方がより歴史や時の流れを
思わせるタイトルになっていると思います。



最後に、
マットの妻の不倫相手を演じているのが、
マシュー・リラードなんです。
マシュー・リラードと聞いてもピンと来ない方が
多いかと思います。
あいつですよ、あいつ!
『スクリーム』のスチュワートです。


ビリーに刺されて、
「痛いよ、血がこんなに出ちゃったよ〜」
とか言って、
気絶しそうになっていたアホの子です。
懐かしい。



では、ここらで失礼したいと思います。
ちょっと更新溜まっちゃってるので、
気合い入れて頑張りますね!
また遊びに来て下さい。
いっつもいっつも、
メルシーボークー!


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