イディオッツ [好き放題の映画レビュー]

みなさん、こんにちは!
腐りかけのりんごっちです!



いやああ、またまたお久しぶりです。
微熱があったりと、
ちょっと体調が悪かったというのもありますが、
まあ、それは単なる言い訳です。


人気ブロガーの方々は、
毎日毎日きちんと更新していますが、
すごいですよねえ(´ω`)


私は、忙しい時期には、
「ああ、ブログが書きたい・・・・・
暇になったら絶対に書いてやる・・・・・」
そう思っているんですが、
いざ暇になると、
書きゃあしねえよ( ゚∀゚)


ええそう、
基本的にダメ人間なんですよ。
ダーメダメダメダメ人間、ダーメッ!





というわけで、
1ヶ月以上前に観た映画のご紹介です。
さすがに反省しています(´ω`)


ラース・フォン・トリアーの『イディオッツ』
やっと観ることができました!
1ヶ月前だけどね(´ω`)



1998年の作品です。

「イディオッツ」というグループを作り、
集団生活をする若者たち。
彼らは、知的障害者のフリを街中ですることを
日常的に行っています。
なぜそんなことをするのかというと、
知的障害者を目の当たりにした健常者の反応を
楽しんだり、
ときにはレストランで食い逃げをしたりすることを
目的としているのです。


知的障害者に対する健常者の偽善を暴く
そんな大義名分も標榜しているようですが、
実際は、
マイノリティであることを武器に、
マジョリティをあざ笑おうという、
何と言いますか、
社会を小馬鹿にした小さなテロのようなものです。



イディオッツのメンバーは、
つらい出来事を体験して心を病んでいたり、
社会からドロップアウトしてしまった弱者ばかりです。
五体満足に生まれてしまったけれど、
人生がうまく進まなくて弱者になってしまった、
そういう人たちなわけです。
そういう人たちが、
【弱さ】を武器に社会を挑発し、あざ笑おう
としているのです。
あくまでも、社会と戦うのではなく、
社会と戦うことを拒否し、
社会をバカにすることで優越感を味わおうとする、
なんとも悲しいテロを試みているのです。



物語は、
エレンという女性がイディオッツに新たに参加する
ところから始まります。
なぜエレンはイディオッツに参加したのか、
これまでエレンはどういう人生を送ってきたのか、
最後に明らかになります。


ネタバレはしませんが、
エレンはあまりに大きすぎる悲しみを抱えすぎていたため、
まともではいられなかった、
知性や理性を捨てる(実際には捨てるフリ)ことで、
現実逃避していたのです。


この映画が
知的障害者の演技をするというタブー
を犯していることで、
観ていてものすごく不快を感じる人もいるようです。
知的障害者に対して不謹慎だと感じるのでしょう。
でも、
私はこの映画を最後まで観て、
【白痴賛美】をテーマとした映画であると思いました。



【白痴賛美】というのは、
例えば、国木田独歩の「春の鳥」にも表れているテーマです。


「春の鳥」では、
白痴の少年が崖から落ちて死んだことを、
鳥になったのではないか、
少年は鳥になりたいという夢を叶えたのではないかと、
捉えています。
少年の死を不幸な出来事ではなく、
美しい結末として叙情的に描いているところに、
この小説の特徴があります。



もともと、【白痴賛美】というテーマは、
イギリスの詩人・ワーズワースの詩に表れていたもので、
ワーズワースに傾倒していた独歩が、
そのテーマを体現したのが「春の鳥」という小説だと
言われています。



もちろん、
崖から死んで落ちたというのは悲しい出来事で、
実際にそういう事件があったとして、
それを美しく語るのは、
被害者や被害者遺族に対して
ものすごく失礼なことだと思います。
それはやっちゃいけない。


でも、
物語を立ち上げる上で
こういうテーマが浮上してきたのは、
時代の流れとしては必然でした。


知性や理性を第一として発展し、
競争を肯定し、貧富の差が拡大した近代。
もうそういうのいいよ、
そういうのから逃れたいよ、
そういう気持ちが
知性や理性を持ち合わせない【白痴】に
対する憧れを生み出し、
【白痴】を美しく描く、
そういうアイデアにつながっていったのです。


知的障害者の人がどれだけ大変なのか
知ってるのか!
知的障害者の家族の苦労が分からないのか!


そういう批判は置いておきましょう。
知的障害者が社会において苦労や苦悩を強いられるのは、
その社会が知性や理性を必須のものとして成立しているからです。


【白痴賛美】という観念は、
白痴を賛美することによって、
同時に、
白痴に苦労や苦悩を強いる社会
白痴を弱者としている社会システムに対する批判
も行っているのです。



なんか難しくなっちゃいましたね(´ω`)



映画に話を戻しますと、
私は観ていて独歩の「春の鳥」を思い出したので、
それほど斬新なテーマだとは思いませんでした。
また、
予告編を観た段階では、
もっととんでもない展開になるのかなと
ワクワクドキドキする期待もあったのですが、
それほどとんでもない展開でもなかったですね。
まあなんというか、
結構淡々と進んで行きます。



【白痴賛美】という概念を肯定できる人は、
それなりに楽しめると思います。
でも、
【白痴賛美】とは何たる不謹慎! ムキー!
と思ってしまう人は、
観ない方がいいでしょう。
きっと腹が立つだけです。



【白痴賛美】というのは、
いってみれば、究極の社会批判だと思います。
近代以降の社会システムの根幹を否定する、
そういう行為だと私は思います。
現実社会を否定し、理想の実現を目指す観念であるという点で、
究極のロマンティシズムでもあるんですよね。



個人的には、
もし『イディオッツ』を観るのであれば、
独歩の「春の鳥」もセットで読んでいただきたいです。
【白痴賛美】という観念を理解できるのではないか、
そう思います。



では、この辺で失礼致します。
今回は非常に真面目な内容になっちゃいました★
読んでくれてありがとう!
メルシーボークー!


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