香港好きのババアが現代日本の悪弊について考えること少々。 [香港大好き!]

みなさん、こんにちは!
腐りかけのりんごババアです!



実は、またしても香港に来ています。
香港に来るのも7回目か8回目。
すっかり現地人と同化できるようになりました。



香港に来る理由は、
ショッピングが一番なんですが、
リフレッシュしたいというのも理由の一つです。



香港に住んでいるわけではない
単なる観光客の私が言うのもなんですが、
香港はストレスのたまらない街です。
少なくとも、私にとってはそうです。



では、どうしてストレスがたまらないのか、
一方日本ではどうしてストレスがたまるのか
ババアなりに考えた結果をまとめたいと思います。
最初に言っておきますが、
長くなります。



結論から言いますと、
日本は過剰サービスを当然のものとすることによって、
サービスを提供する側も受ける側も、
ストレスを感じることになっていると思います。



香港に来て毎回遭遇するのは、
店員さんのぶっきらぼうな対応です。
特にコンビニやスーパーのキャッシャーなんかは、
ニコリともせずに会計を済ませ
投げるように釣りを渡します。
拙い英語で話し掛けると、
「アアアン?」と怒ったように返事をされます。


じゃあ、それに腹が立つかっていうと、
特に腹は立ちません。
もちろん、ババアは単なる観光にやってきた外国人で、
国籍という要素が
相手に対しての怒りを中和している可能性は少なからずあります。
ですが、それ以上に、
何度も香港に来るうちに
【それが当たり前】という観念を得るようになった、
というのが一番大きい理由だと思います。



街中を歩いていても、
カートに荷物を載せて運んでいる人が
「唔該! 唔該! 唔該! 唔該!」と連呼しながら
歩行者の間を猛スピードで通り抜け、
事実上、歩行者に道をあけるよう強要しているシーンに遭遇します。
※「唔該(ンゴイ)」=英語の「Excuse me」のようなもの


日本だったらどうでしょう。
きっと
「恐れ入ります、失礼致します」と丁寧に詫びながら
恐る恐る進んで行くか、
あるいは、
歩行者の後ろを、歩行者の邪魔にならないように、
ひっそりとゆっくりとついていくんじゃないでしょうか。
その結果、移動に時間が掛かり、
ひいては労働時間が長くなることは言うまでもありません。



こういう場面に何度も遭遇して、
そして、その度に「日本だったら」と考えることを繰り返し、
最後にババアが得た結論は、
【日本は過剰サービスを今すぐやめるべきだ】
です。


もちろん、一晩3万も5万もするような高級ホテルや、
コースで2万も3万もするような高級レストランであれば、
過剰サービスを提供してもいいでしょう。
アホみたいに高い料金の中には、
丁寧なサービス、
そのサービスによって消費者が得られる満足感
も含まれているからです。



が、
コンビニとかスーパーとか牛丼屋、ファミレスとかにまで
それを求めるっておかしくないですか?
それらの店で働く多くの店員が、
学生であったり、主婦パートであったりと、
あくまでもパートタイムジョブとして働いています。
専任フリーターもいるでしょうが、
それにしても、
決して高い時給で働いているわけではありません。
安い時給で店員を雇用しているから、
安い値段で消費者に商品を提供できているのです。



時給800円の学生アルバイトに
完璧なサービスを求めるのが、今の日本です。
ちょっと応対が悪いとカスタマーサービスにクレームを入れたり、
SNSに投稿したりと、
サービスに不満を感じた場合には
容赦ない対応をするのが、今の日本です。


りんごババアも学生のころ、
某ファストフード店でアルバイトしていました。
接客に非常にうるさいチェーン店で、
たとえば、「少々お待ち下さい」という言い方はNGで、
必ず「少々お待ち下さいませ」と言わなければいけませんでした。


「時間がかかる」という表現もタブーで、
「お時間をいただく」と言わなければいけなかったし、
お客さまに代わりの商品を勧める際にも、
決して押しつけにならないような表現に配慮しなければなりませんでした。


7年半も働いたので、
新人をトレーニングするマニュアルの作成なんかもやって、
トレーニングの徹底を他のクルーにも厳しく指導していたのですが、
今から考えると、
頭おかしかったわ自分!
ァ '`,、'`,、('∀`) '`,、'`,、


当時、時給はたしか760円でした。
頑張って働いても全然時給上がらなくて、
店内で行われるコンテストなんかで入賞して、
やっと次の1ヶ月だけ時給が50円プラスされるって感じでした。
「やったー! 50円UPだ〜! ウィリィィィィ!」
って当時は喜んでいましたが、
100時間働いても5000円ですからね。
そもそも、学生なんだから100時間も働けないですし。



つまり、何を言いたいかと言いますと、
我々日本人は、
【サービスに関しては
費用対効果っていう概念を忘れちゃってるよ】

ってことです。
「スマイル0円」なんて言いますけどね、
「スマイル」したところで店員には1円も入りません。
それなのにスマイルを強要する社会それ自体がおかしいんですよ。


【過剰サービス】という言い方に語弊があるかもしれないので、
【ホスピタリティ】と言い換えましょう。
そもそも、
【ホスピタリティ】という言葉が一般的になっていることそれ自体に、
現代日本の悪弊が象徴的に示されているのです。


もちろん、無愛想な接客をされて気持ちい人はいません。
イラッと来ることもあるでしょう。
ですがね、
そもそも【ホスピタリティ】って強要されてやるもんでもないし、
マニュアル化するものでもないでしょう。
完璧な言葉遣いじゃなくても、
高級ホテルのコンシェルジェみたいな態度じゃなくても、
伝わる【ホスピタリティ】ってあると思うし、
【ホスピタリティ】は臨機応変に提供すればいいはずなんです。


書いていて思い出しました。
昔のキオスクのおばちゃんって、
臨機応変なホスピタリティを提供できていましたよねえ。
今の若い人は知らないでしょうが、
昔はバーコード通すレジなんてないから、
おばちゃんは全部値段を暗記していて、
しかも、
この新聞とこのタバコの組み合わせならいくらって、
よく出る商品の組み合わせでも、
値段を覚えていたんです。


何で覚えているのかっていうと、
お客さんはみんな急いでいるから。
計算に時間が掛かって電車に乗り遅れたら大変です。
だから、
キオスクにおいては、
何よりも正確さとスピードが求められるという前提に基づいて、
おばちゃんたちはホスピタリティを提供していたんです。


正直、愛想はよくありません。
でも、よく来るお客さんの注文する品は覚えていて、
注文する前に黙って渡してニヤッと笑う、
そんなおばちゃんが多かったように思います。


今の日本って、
笑顔で接客して【ホスピタリティ】を見せているけれども、
心の中は「この客氏ね、地獄におちろ! 早く帰れ!」って
思っているケースが多くですよね。
それでその心の中の愚痴をTweetしちゃうおバカさんが度々現れて、
問題になっちゃったりしてるんです。
Tweetするのはバカですが、
【ホスピタリティ】という魔の言葉に支配されて、
ものすごいストレスを内に抱えてしまうからこそ、
こんな事態に陥ってしまうんですよね。



日本国民にババアは訴えたい!


もう【ホスピタリティ】で
自らの首を絞めるのはやめよう!



【ホスピタリティ】にこだわるあまり、
【ホスピタリティ】を提供する側は疲弊し、
そして同時に提供される側も疲弊しています。
だって、
【ホスピタリティ】を提供されるのが当たり前だと思って、
【ホスピタリティ】のあら探しに必死じゃないですか。
一億総クレーマー時代
ギスギスし過ぎィィィ!



もちろん、
無愛想と横柄は違います
昔の役所はとにかく横柄だった。
横柄は不親切です。
分からない人に教えてあげる、優しくするのは当たり前、
それができない社会は弱者を切り捨てる社会です。
困っている人には積極的に手を貸すことは忘れてはいけない、
でも、貸される側は貸されて当然と思い上がってはいけないのです。
※香港はこの辺が物足りない。重たいスーツケースをバスに載せようとしていても、手伝ってくれる男性なんていやしないもんなあ。欧米だと男性がスッと手を貸してくれる。



とは言え、
いきなり人々の価値観を変えるのは不可能です。
すでにコモンセンスとなってしまった【ホスピタリティ】を捨てることには、
ものすごい勇気が求められます。
現在の私たちの価値基準は、
2軒コンビニが並んでいたら接客態度のいい方へ行く
というものですから。
接客で個別化を図ろうとする努力を、
我々はもう何十年も続けて来たわけですから。



ですから、すぐに状況を変えることはまずムリです。
でも、一人一人が頭に刻み込んでおいてほしいのです。
【サービスはそもそもタダじゃねえ】ってことを。
そして、
【ホスピタリティに縛られて、
 もう日本人みんな死にそう】
ってことを。



もっと適当に生きましょうよ、日本人。
完璧なサービスを提供する時給1200円の従業員2人よりも、
最低限のサービスしか提供しない時給800円の従業員3人の方が、
実は効率よいサービスを提供できるって気付きましょうよ。



そして、完璧を期するあまり、
猛烈なストレスを抱えて、
心身に異常を来す人が多くいること、
仕事とプライベートがひっちゃかめっちゃかで混同されて
しまっていることを、
いまいちど、異常なことだと意識しましょうよ。



以上、
香港国際空港からりんごおばちゃんが吠えました
これから日本に帰ります。
今回も楽しい旅をありがとう、香港ピーポー!
愛すべき、適当な街です。
適当なのにものすごい活気とパワーがある街です。
日本にはない力強さに、いつも圧倒されます。



では、この辺で。
長くなってごめんね〜!
メルシーボークー!


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