愚行録 [好き放題の映画レビュー]

みなさん、こんにちは!
お久しぶりです、腐りかけのりんごです!



随分と久しぶりの更新になってしまいましたが、
生きておりました。
映画も観ておりました!


本日公開の『愚行録』を観てきましたので、
さっそくレビューしたいと思います!
ネタバレなしです、ご安心下さい!





1年前に起きた一家惨殺事件
いまだ犯人が見つからないその事件の真相を追おうと、
週刊誌の記者が改めて事件関係者にインタビューをしていきます。
そのインタビューの中で、
少しずつ事件の真相に近付いていく・・・・・・という展開になっています。



重ねて言いますが、
ネタバレはしないので、最後まで安心してお読み下さい。



複数の関係者の証言によって事件の詳細が明らかになっていく、
という構成は、
芥川龍之介の『薮の中』を思い起こさせます。





が、
芥川の『薮の中』においては
決して真相が明らかにされないのに比して、
この『愚行録』ではちゃんと真犯人が明らかになります。
そこはご安心下さい。



この映画の面白いのは、
(原作は未読です)
「あんなにいいやつだったのに」
「あんなに感じのいいご家族だったのに」
と評されていた被害者の愚かな側面が、
数々の証言によって次第に明らかになって行くところです。


とはいっても、
死に値するほどの愚かさではなく、
人間がでも持っている愚かさ
その愚かさを実際に行動に移すかどうかは、
本人次第といった愚かさです。


実際、
その愚かさを否定することなく実行に移した被害者は、
社会的には成功しているわけです。
愚かであるけれどもそれ故に利口な被害者の一面が、
証言によって次第に明らかになって行きます。


そして、それと同時に、
被害者について語る関係者も皆、
愚かな一面を持っています。
彼らの愚かさは社会的な成功にはつながっていませんが、
みな、それぞれに愚かなんです。



ですから、
被害者は評判ほどいい奴じゃないけれど、
だからといって
殺されるほどじゃないよなあ
と、ますます事件の真相が分からなくなってくるのです。



真犯人が誰だったかは書きませんが、
私としては、意外な人物でした。
そして、
真犯人の殺意の正体を知ったときに、
本当の悪人って誰なんだろう


誰が本当の被害者なんだろう
と思いました。



松田奈緒子の『悪いのは誰?』というマンガをご存じでしょうか。



この漫画は、
善意が時として悪意に変わりうる


善意は受けとめようによっては悪意である
ということをテーマにした漫画で、
私の非常に好きな作品です。


今回『愚行録』を観ていて、
私はこの『悪いのは誰?』を思い出しました。
『愚行録』とテーマは異なるのですが、
『愚行録』の被害者たちの言動を
悪意として捉えるかどうか、
絶対的な悪などあるのだろうか
そう考えていたら、
『悪いのは誰?』が頭に思い浮かびました。



非常に密度の濃い、
サスペンス映画として良作だったと思います。
妻夫木聡、満島ひかりといった
若手実力派俳優の演技によって、
手堅い映画になっています。
安心して観られます。



では、今日はこの辺で。
また近いうちにお会いしましょう!
メルシーボークー!



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