高慢と偏見とゾンビ【原作への愛に溢れた良作。B級ホラーじゃなかった!】 [好き放題の映画レビュー]

こんにちはー!

本日は『高慢と偏見とゾンビ』をご紹介します。



2016年公開作品なので、もう4年前なんですね。
この映画、予告編を劇場で観て、
「うっわwwww ウケるwwww 観てええ」
と思ったんですけれど、
レイトショーでしかやってなかったかなんだか、
観るチャンスに恵まれず、
その後、スターチャンネルでやっていたのを録画したのですが、
そのまま観ずに放置していました。

なぜなら、B級パロディ映画だと思っていたから。
ホラー映画にあるじゃないですか、よく。
ヒットした作品のパロディもの。
あの類いだと思って、なかなか観る気がおきなかったんです。

ですが、
すいませんでしたああああああああああああああああああ!!!!

いや、素晴らしいです。
この映画は、素晴らしい。
二番煎じでも、パクリでもなく、
原作に対するリスペクトが根底にある、正統な二次創作作品です。
いやほんま、手首ねじ切れるくらい手のひら返ししました。

まず、『高慢と偏見』のあらすじをご紹介しておきましょう。
18世紀のイギリス
とある田舎町に暮らすベネット家の隣に、金持ちのビングリーが越してきたところから
物語は始まります。
ベネット家には5人の娘がいるのですが、
当時のイギリスには、女性に財産の相続権はありませんでした
つまり、父親が死んでしまうと、その妻にも、未婚の娘たちにも
父親の遺産を相続することはできないのです。
まあつまり、路頭に迷う可能性があるのです。
そこで、母親はとにかく娘たちを金持ちの男と結婚させたくて仕方ありません。
なんとかビングリーと誰でもいいから娘を結婚させようと画策した結果、
長女のジェーンとビングリーがいい雰囲気になります。

一方、ビングリーの友人であるダーシーも、
ビングリーの屋敷に一緒に来ていました。
ダーシーはビングリーよりもはるかに裕福ではありますが、
非常に気難しい性格です。
ベネット家の次女のエリザベスは、ダーシーの「高慢」な性格に辟易しますが、
その一方で少しずつダーシーに惹かれていくのでした。

といった感じの、ラブストーリーです。
メインは、エリザベスとダーシーの恋の行方ですが、
ジェーンとビングリーの恋模様、
エリザベスに求婚するちょっと気持ち悪い牧師の存在など、
複雑な人間関係が描かれている作品です。
とか言って、
私も原作は読んだことないんです

私は、イギリスのBBCが制作したドラマ版のBlu-rayを持っています!

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いや、このドラマ、最高なんですよ。
ダーシーを演じているのは、あのコリン・ファース!
俺たちのコリン・ファース!!!!!!!!

私はコリン・ファース目当てで買いました。
この作品に出演したことでコリン・ファースの人気に火がついたそうで、
当時35歳だったコリン・ファースが演じたダーシーは最高です。
とにかくこれは観てほしい。
アマプラにもあるから、ぜひ観てほしい。
こんなにかわいくて、セクシーで、おちゃめなダーシー、他にいないの!


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あ、あと、キーラ・ナイトレイがエリザベスを演じた、
映画『プライドと偏見』も観たことあります。

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でもでも、オススメは絶対ドラマ版の方です。

それはともかくも、
『高慢と偏見』という作品は、
愛なき結婚を強いられるのが当然であった時代に、
愛ある結婚を実践しようとしている女性たちの物語でもあります。
女性の自立心、主体性のめざめを描いている作品なんですね。

では、『高慢と偏見とゾンビ』はどうだったのかというと、
まず、
最初に驚いたのが、
ええええええええ、これ、主演、リリー・ジェームズだったのおおおおお?!

この映画の公開時には、
私まだ、リリー・ジェームズを認識できてなかったんですね。
その後、『ベイビー・ドライバー』、『イエスタデイ』を観て、
もうリリー・ジェームズ大好きになりました。
めちゃめちゃかわいいですよね!

で、物語の方は、
予告編を見ると、バトルメインのように思えたんですが、
全然そんなことありませんでした。
ものすごくうまく、『高慢と偏見』の世界にゾンビ要素を追加しています。
疫病の蔓延によってゾンビが大量発生している世界線の『高慢と偏見』です。

基本は『高慢と偏見』なんです。
でも、5人姉妹が中国で武術を体得していて、
時にゾンビに襲われたら、華麗な舞でゾンビをぶっ殺すんです。
本来『高慢と偏見』では言い争いだった場面が、
激しいタイマンシーンに変わっているんです。
でも、それ以外は、基本的に『高慢と偏見』!!!

この映画は、 『高慢と偏見』の世界にゾンビ加えたらどうなるかな〜
という、『高慢と偏見』ファンの素朴な発想から生まれた作品なんでしょう。
ゾンビ映画を撮ろう!というよりは、
『高慢と偏見』の二次創作作品を創ろう、
そういうスタンスで作られていると思います。
(もともとは小説で出された作品ですが、それは読んでおりません)
ですから、『高慢と偏見』の世界観は基本的に守られています。
『高慢と偏見』ファンが観たら、
思わずニヤニヤしてしまうんじゃないでしょうか。

逆に、ゾンビ映画としては物足りないかもしれません。
それほどゾンビ、出てこないから。
ゾンビはあくまでもスパイスです。

さて、話をコリン・ファースに戻します(戻すの?)
私は、コリン・ファースの演じるダーシーを大絶賛しているわけですが、
『高慢と偏見とゾンビ』のダーシーはどうだったかというと・・・・・・

全然ダメえええええええええええ!
(個人の見解です)

ダーシーを演じていたのは、サム・ライリーというイギリスの俳優で、
私は今回初めて見ました。
『マレフィセント』シリーズに出ているようですが、
観たことないからなあ・・・・・・。
まあともかくも、
どうしてもコリン・ファースと比べてしまうのですが、
かわいさがないんですよ。
ダーシーは、気難しい顔をしていながらも、
実はエリザベスのことが気になって仕方ない、
究極のツンデレじゃなきゃダメなんです。
でも、デレがない、このダーシーにはデレじゃないんじゃ。
ギャップ萌えできないんじゃ。
コリン・ファースを超えるダーシーはおらんのじゃ・・・・・・。

というわけで、
原作に対しての愛を忘れない良作に感動しつつ、
コリン・ファースの素晴らしさを再確認した、そんな作品です。
オススメですよ!




高慢と偏見とゾンビ(字幕版)

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高慢と偏見とゾンビ ((二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション))

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高慢と偏見 (中公文庫)

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セックス発電(SEX発電)【邦題で損してる!人間の素晴らしさを描いた大人のコメディ。エロは少なめ】 [好き放題の映画レビュー]

こんにちはー!

タイトルに惹かれて迷い込んで来てしまった方もいるかもしれませんが、
『セックス発電』という映画を観ました!

ち、違いますよ、決してエロ目的じゃないです。
そもそもいわゆるお色気系の映画は観ません。
そんなの不潔よ!汚らわしい!
という理由ではなく、
大抵、映画としてのクオリティが低く、つまらないからです。

でも、この映画はシネフィルWOWOWで配信されていて、
しかも評価が高かったので
観てみました!!!


セックス発電 (字幕版)

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エネルギーが枯渇した近未来の地球。
電気もガソリンもすべて失われ、
輸送は人力か馬に頼り、通信手段は伝書鳩のみ。
新たなエネルギーを開発する研究を進めている科学者は、
女性がセックスにより快感を得ると電気エネルギーが得られると気付きます。
快感が強ければ強いほど強いエネルギーが得られるので、
教授は最も強い快感を得られるであろう男女の組み合わせを探し、
精力絶倫の男性と、「淫乱」の女性を拉致し、
二人がセックスするように仕向けます・・・・・・。

とりあえず、設定で噴きますよね。
アホかと。
B級臭がやばいです。
でも、レビューは高評価。
もう少し観てみようと続けて観てみたら・・・・・・

おもしろかったあああああああああああああ!!

科学者たちはセックスが好きな男女を隣同士に寝かせておけば
すぐにことに及ぶだろうと高をくくっていましたが、
なかなかそうはいきません。
やはりそれなりに気持ちが通じ合わないとダメなんですね、にんげんだもの。

やっと二人がセックスを始めて、
そのことで電気が得られ、シャンデリアに明かりが灯ったときには、
もうね、拍手喝采ですよ。
おめでとう! おめでとう!!

肝心のセックスシーンはなくて、
ただシャンデリアに明かりが灯る様子で、
二人が強い快感を得つつあることが分かります。
無駄におっぱいを直接的に映さないところからも、
この映画が安易なエロを狙っていないことが分かります。
おっぱい出しておけばそれでいい、
そんな安易な発想で作ってないんですよ!
※まあ、かなりおっぱい出してますけどね。

なんかねえ、人間が愛おしくなりますよ、この映画を観ると。
科学の発展のため、イタリアを世界随一のエネルギー大国にするために、
二人にセックスさせようと躍起になる科学者や政府関係者たち。
この実験に賛同したものか立場を決めかねているローマ法王(!)。
その一方で、
当の本人たちは、真面目に「恋」してるんですよね。
立場は違えど、目的は違えど、
双方ともに真剣だから、つい笑ってしまうし、愛おしくなる。

教授は最終的に、
愛のないセックスで快感は得られるか、という問題に行き当たりますが、
うーん、私は無理かな、多分。
愛はなくても、少なくとも情は感じていたい、
そう思います。

とまあ、大人が楽しめるコメディ映画でした。
おすすめですよ〜。
Amazonプライムに加入している方なら、
追加料金を払えばシネフィルWOWOWが配信している作品も観ることができます。
私はキャンペーン中に加入したので2ヶ月は月99円ですが、
通常は390円なのかな。
キャンペーン中、あるいは観たい作品が配信されている時を狙って、
月単位で加入するといいと思いますよ〜!



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誕生日はもう来ない【登場人物の言動意味不明。でもクセになるカルトホラー】 [好き放題の映画レビュー]

こんにちは!

今日は、正直意味分からないんだけれど、
なんだかクセになって繰り返し観ちゃう映画をご紹介します。

1981年のカナダ映画、
『誕生日はもう来ない』です!




誕生日はもう来ない (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video



この映画、
とある高校で「トップテン」と呼ばれる成績上位10人が、
次々と殺されていくというホラー映画なのですが、
登場人物の行動がいちいち変!!!!!

冒頭、いきなり一人目が殺されるんですけど、
駐車場に駐めておいた車に乗った途端、
後部座席に潜んでいた何者かに首を絞められるんですよね。
すわ! 南無三!
と思ったところ、一瞬死んだふりをして車から脱出に成功。
よかった! と思ったら、
なぜかこいつ、駐車場の奥へ奥へと逃げるんですよ。
駐車場の前は人通りもある通りなのに、
こいつはなぜか駐車場から出ようとしない。
もおおおおお、イライラする!!!

場面が変わって、街のパブ。
ここはトップテンのメンバーのたまり場になっているのですが、
飲み会に遅れて現れたメンバー、ネズミを連れています。
片時も離れることのない相棒のようですが、
飲食店にネズミ連れてくんなよ・・・・・・。
しかも、パブで騒いでいるおっさん連中が気に入らないと言い出したメンバーが、
そのネズミをビールの中に入れて、おっさんに差し入れ・・・・・・。
ネズミかわいそうやろ!!!
※つーか、高校生なのに避け飲めるの??

パブを出たメンバーたちは、「ゲームをしよう」といって、
すでに稼働している跳ね上げ橋を渡りきれるかを競います。
ギリギリのところでジャンプして渡りきった車に乗っていたバージニアは、
パニック状態に陥り、車から飛び降り走り去ります。
その様子を見ていたメンバーたち、
「きっと家に帰ったんだろ」。
いやいやいやいや、探せよ! 探してやれよ!

とまあ、どいつもこいつも言動がおかしい。
ちっとも同情できない。
どんどん殺されていくんですけど、
切羽詰まった感じがしない。
なんでしょ、この映画。

主人公のバージニアは、かつてひどい事故に遭って、
一部記憶が欠けています。
事故の詳細はなかなか明かされないし、
事故の後にバージニアが受けたという脳の手術についても、
少しずつ、断片的にしか情報は与えられません。
果たして、トップテンのメンバーはなぜ殺されるのか
バージニアの事故と関係があるのか、
失われたバージニアの記憶にその謎が隠されているのか、
いやあ、手に汗握るわ〜。

殺し方にもバリエーションがあり、そこは楽しめます。
前年に『13日の金曜日』が公開されているから、
【若者たちがいろいろな方法で次々と殺される映画】がブームだったんでしょう。
ただ、この映画に関しては、
全体的に陰湿な人間関係を繰り広げている若者たちが次々と殺されます
特に男。ストーカー気質の男ばっかりです。
すぐに尾行する。すぐに部屋に侵入する。
すぐにパンツ盗む!!

とまあ、散々こき下ろしているように思えるかもしれませんが、
今回で観るのは3回目です。
観終わったら「なんだよこの映画!!!」って
文句言うの分かってるのに、定期的に観ちゃう。

結末はまあまあのどんでん返しが用意されていて、
どんでん返しっていうか、
ポッカーーーーーーーン・・・・・・
な終わり方なんですけれど、
なんかもう、ここまでも十分ひどかったし
もうどうでもいいや!!!って思えます。
何でもありだよ、カナダ!

とりあえずまあ、
こんな高校通いたくない、
そう思える映画です。
昨日観た『ブックスマート』とは大違い!

では、この辺で。また近いうちに。
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー【心優しい青春賛歌! 個性たっぷりの登場人物だらけの快作】 [好き放題の映画レビュー]

こんばんは〜!

予告通り、映画を観てきました!
帰宅したばかりです。
興奮冷めやらぬうちに書いちゃいますね。

観てきたのは、
『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』です!



公開前からTwitterで情報が回ってきたのですが、
どうやらかなり面白いらしく、
上映館が増えています。
今日、仲のいい映画友だちが観てきて大絶賛していたので、
私も急遽観に行ってきました!

高校の卒業式前日。
生徒会長を務めたモリーは、
まあ、何というかダサい女子高生です。
大変ふくよかでいらっしゃるし、
何というか、若さのかけらもない風貌。
同級生には40代に見えると陰口を叩かれています。

親友のエイミーは、同性愛者で、環境保護活動をしています。
二人はいわゆる「Book Smart」です。
つまり、ガリ勉の頭でっかちちゃん
でも、モリーは念願のイェール大への進学を決めたし、
エイミーもボツワナにボランティア活動をしに行くことが決まっています。
二人とも高校生活に悔いはないと思っていたはずが、
散々遊び回っていて、どうせ人生においては負け組だろうと思っていた同級生たちが、
そろいもそろって名門大学への進学を決めていたり、
グーグルへの就職が決まっていることを知ってしまいます。
く、悔しい!

だったらワシらも残りの高校生活楽しんだるわ!
と、モリーとエイミーは卒業式前夜、同級生が主催するパーティーに参加することにします。
パーティーなんて初めて!!
二人は場所も知らされていないパーティー会場を目指します・・・・・・。

といった感じで物語。

さて、この映画、とにかく楽しかった!!!!!
ああああ、こんな高校に通いたかった!
こんな青春を送りたかったあああああああ!
と、すでに失われた青春に対してノスタルジーを感じさせてくれる映画です。

おそらく、こんな高校はアメリカには実在しないでしょう。
たしかに、モリーとエイミーは「Book Smart」として
パリピな同級生たちに見下されている側面はありましたが、
だからといって、彼女たちはいじめられていたわけではありません。
そもそも、モリーとエイミーが同級生たちを見下していたので、
同級生たちもまた、モリーとエイミーに距離を感じていただけです。

よく、アメリカの高校には「スクールカースト」があると言いますが、
この映画の中の高校には、そういった陰湿な格差は感じません。
マッチョで、脳みそまで筋肉に侵されているアメフト部のエースも、
そのアメフト部のエースとデキちゃってるチアリーダーも、
この映画には登場しません。
この映画に出てくる高校生たちは、
どいつもこいつも一癖も二癖もあって、
でも、憎むことができないかわいい奴らです。

この映画の世界観を「うる星やつら」に例えている人がいたと聞きました。
たしかに、この高校は友引高校に似ている。
個性と個性がぶつかり合うことはあるけれども、
でも、人格を否定するような陰湿ないじめはありません。
モリーが聞いてしまった陰口は確かにひどいけれど、
あれをモリーに面と向かって言うようなことはない、
モリーを煙たく思っている同級生はたくさんいたけれど、
だからといって、モリーをコミュニティから排除するようなことはしないのです。
少なくとも、
モリーは卒業する前日まで、自分は人よりも優れているし、
生徒会長としての任務をやりきったと思い込むことができていました。
そういう点で、
あの高校はファンタジーだと言えるでしょう。

この映画の監督は、オリヴィア・ワイルド
私はドラマ『Dr.HOUSE』に出演していた印象が強い女優さんですが、
最近だとイーストウッドの『リチャード・ジュエル』にも出ていました。
ろくに前情報も得ずに観に行ったので、
監督が誰かも知らなかったのですが、
観ている途中で、
この映画の監督は女性だろうなあ
となんとなく思いました。

ものの考え方や価値観にジェンダーを与えることが
ジェンダーの再構築にならないといいのですが、
なんというか、男性的な価値観から自由な監督だな、と思ったのです。
上下の階層的なつながりのない、
緩やかに横につながっている世界を作っているな、
そう思ったのです。

そういう点で、
追い込まれて追い込まれて最後にカタルシスを得る!
といったような映画ではなく、
常にどこにでも逃げ場を確保しつつ流れに身を任せて進んでいったら、なんとなくゴールに到達した、
そんな印象を受ける映画です。
もちろん、モリーもエイミーも彼女たちの青春の中で足掻いています。
でも、その足掻きが見てて苦しくないんだなあ。
一緒に歯を食いしばって拳を握って応援しなくてもいいんです。
失敗しても大丈夫だよ〜って、観てるこっちも余裕を持って応援できるんです。
がむしゃらだけれども、他者を蹴落としてまで栄光を勝ち取ろう、
そういった、競争社会の(男性的な)原理とは彼女は無縁なのです。

最後に激推ししたい登場人物がいます。
ジジです!

ジジ、最高! ジジ、大好き! ジジ、愛してる!!!!!!

美人でお金持ちの女子生徒なのに、
チアリーダーとかじゃないんですよ。
もうね、ジジ、狂ってる!
でも、最高にかわいいし、
最高に優しいし、最高に一緒に飲みたいよ!!!!!!

ジジを観るためだけにでも、1800円払う価値はありますよ。
最初の10分くらい、
ちょっと世界観を捉えるのに時間がかかりましたが、
多分、予告編を見てから行けば大丈夫だと思います。
あれだけ個性的な登場人物がたくさん出てくるのに、
誰が誰だか分からなくならないよう整理しているのはすごいと思います。

では、このへんで!

リチャード・ジュエル(字幕版)

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  • 発売日: 2020/03/19
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卒業 デジタル修復版(字幕版)

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  • 発売日: 2020/02/14
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卒業 デジタル修復版(字幕版)(4K UHD)

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  • 発売日: 2020/02/14
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シェルター 狂気の秘密【DV被害者への同情がいつか支配欲に変化する。強くなれ!と叱咤激励することもまた暴力なんだな】 [好き放題の映画レビュー]

はい、こんにちはー!
私のつたない記事にnice!つけてくださった方、
ありがとうございます!
励みになります。

いきなりモリモリとブログを更新しております。
やっと涼しくなってきて体が動くようになってきました。
私、本当に夏に弱くて、毎年8月はずっと寝てるんですよね。
8月は仕事も比較的暇なので、
ほんと、何もせず、延々と寝ている・・・・・・。

いや、これ、怠惰とかじゃなくて、
本当に体が動かないんです。

だって、もともと日本の夏って暑くても30度でしたよね?
だから30度を超えるとバグるようにシステムが構築されてるんですよ。

さて、そんなこんなで(どんな?)、
またAmazonプライムで映画を観ました。
『おまえ、こんなん好きやろ?」と
Amazonが勧めてきた映画です。

『シェルター 狂気の秘密』、2008年のカナダ映画です。
シェルター 狂気の秘密(字幕版)

シェルター 狂気の秘密(字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2020/07/15
  • メディア: Prime Video


※予告編は見つかりませんでした。

夫の暴力に苦しんでいたダーリーンは、
娘とともに、ソーシャルワーカーが勧めてくれたシェルターに逃げ込みます。
そのシェルターは、ビーという女性が一人で運営しています。
ビーは農場も持っていて、
自給自足のような生活をしています。

ビーはダーリーン親子を無償で受け入れる代わりに、
①農作業を手伝うこと ②フェンスを越えて敷地外に出ないこと ③酒やタバコ、ドラッグなど、依存性のあるものは持ち込まないこと
以上3つの約束を守るよう、ダーリーンに言います。

娘のビクトリアもシェルターを気に入ったし、
ダーリーンはしばらくビーとともに暮らすことにしましたが、
どうにもビーの様子がおかしい。
そもそも、
タバコと酒がやめられないダーリーンは、
最初からビーに隠し事をしているわけで、
罪悪感も捨てきれません。
さらに、
納屋の中には入っちゃだめ
なんて言われたものだから、
ダーリーンは少しずつビーを疑い始めます・・・・・・。

まあ、
このジャケット観たら、どんな展開かは予想できちゃいますよね。

シェルター 狂気の秘密(字幕版)

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  • 発売日: 2020/07/15
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優しい仮面の下に隠された、その狂気が暴れ出す!

ですもんね。

仮にジャケットを観ていなかったとしても、
40過ぎて三つ編みにしてる女には気をつけろ!
と、私の警戒センサーは敏感に反応してましたよ。
しかもそいつが自給自足の生活なんて送ってたら、
まずやべえやつだと思え!!
とね。

でも、ジャケットからだと、
『悪魔のいけにえ』並みのスプラッターを想像しますが、
実際はそんなことないです。
そんなにグロくないし、
ホラーというよりは、心理的に削られるスリラー映画。

前回ご紹介した『レベル16 服従の少女たち』を観たので、
謎の施設に監禁されてる系映画としてAmazon勧めてきたのかなあと
最初は思ったのですが、もしかしたら違うかもしれません。
『シェルター』も、『レベル16』と同様に、
社会的に弱者であることを強要された女性が、
女性同士共感し合うことなく、
むしろそこに支配被支配の構造を作り出している、
という物語なんです。

ネタバレしないように書きます。

ビーの来歴は分かりません。
ですが、
恐らく、強権的な両親、あるいは祖父母によって支配され、
農場から抜け出すチャンスを持てずに大人になったのでしょう。
つまり、彼女もまた、「弱い女性」だったのです。

ですが、
自分を支配していた人物がいなくなり、
彼女は自由を得ます。
自由を得たときに彼女が選んだのは、
本来は「弱い女性を助ける」ことだったはずです。
それなのに、彼女はむしろ「弱い女性を支配する」方向に向かってしまったのです。

女性たちが弱いことに苛立ち、
自らが支配することで女性たちが強くなることを強制し、
そして、自分の意に背く女性は排除しようとする、
それは結局、ビーをはじめとした女性たちが、
支配的な立場にいる(主に)男性によってされたきたことそのままです。

弱い者同士が共感し合うことなく、 そこに新たな支配構造を作り出してしまう悪循環が、
この『シェルター 凶器の秘密』には表れています。
果たして、あの農場は誰にとっての「シェルター」だったのでしょうか。

最近、理想のシスターフッドってどんなのだろうって、
ぼんやりと考えているので、なかなかこの映画は興味深かったです。

物語の結末は、まあまあ意外です。どんでん返しです。

今晩は映画を観に行く予定です。
ではまた!
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レベル16 服従の少女たち【謎の施設に監禁され、教育される少女たち。異様な空間だけれど、現実世界のメタファーでもある】 [好き放題の映画レビュー]

みなさん、こんにちは!

コロナで失職して途方に暮れていましたが、
このたび、無事に失業保険を受給できることになりました!
よかったああああああああああああああああああ!

ご機嫌でハロワから帰宅して、
お昼寝の前に映画を観ることにしました。
いいご身分でしょ?
もうね、コロナのせいで仕事なんて全然ないから、
慌てないことにしました。

さて、
『レベル16 服従の少女たち』という映画を観ました!



孤児院で暮らす少女たち。
少女たちは、養子縁組が成立する日を夢見て、
孤児院内の学校で学んでいます。

が、そこは孤児院と言うよりは
刑務所か精神病院の閉鎖病棟のよう
無機質で、食事をするためのテーブルと椅子すらなく、
少女たちは床に座って、「餌」のような食事を摂っています。

学校では「清潔」であることが何よりも重視され、
顔を洗うのが少し遅れただけで懲罰の対象となります。
学課を終えるごとにレベルが上がっていき、
ついに最終レベルであるレベル16に到達しました。
孤児院で暮らす少女の一人であるヴィヴィアンは、
同室の少女から、ビタミン剤を飲まないように言われます。
ビタミン剤を飲まなかった夜、ヴィヴィアンはなぜか眠れませんでした。
そこに守衛が部屋に入ってきて、
眠っているふりをしているヴィヴィアンを抱えて部屋から連れ出しました。
もう一人の少女と一緒にある部屋に寝かされたヴィヴィアンは、
恐ろしい事実を知ってしまいます・・・・・・・。


といった感じで物語は始まります。
アマプラで配信されていたので、なんとなく観てみました。
たまには、前情報なしで映画を観るのもいいかなと。



結論としては、なかなか面白かったです。
こういう、謎の施設に監禁されている系の映画って、
クソみたいなオチのことも多いような気もするのですが、
この映画はそうでもなかったです。
というか、オチそれ自体がそれほど重要ではない映画かな。

なぜ少女たちが施設に監禁されているのか、
施設の目的は何なのか、最後の最後まで分かりません。
その「謎」の解明を追うことで、
物語を楽しめるのも、この映画の魅力の一つだと思います。

ですが、
私がこの映画を面白いと思ったのは、
少女たちを監禁している施設は、結局実社会と変わらないのではないか、
そう思ったからです。
この施設を運営している「先生」は、
少女たちに従順さ、素直さを美徳して教えこんでいます。
「怒り」を持つことは少女として「悪徳」であり、下品な行為とされます。
そして、その一方で、少女たちは「文字」を教えられていません。
彼女たちは文盲なのです。

反抗的な態度をとる者、規律を乱す者は、
内部から密告者が出るように少女たちは教育されています。
理不尽なルールを守るべき理由は、
それが女性としての「美徳」だから。
あるいは、「学校」は「家族」であり、
「家族」としての連帯がそこにはあり、
「家族」に対しての「恩」がそこにはあるからなのです。

これまで女性たちが実社会で受けてきた待遇と何が違うでしょう。
女性は長い間、言葉を奪われ、
「女性らしさ」を理由に
様々な行動を規制されてきました。
「家族」のためだからと、主体性を持つことを否定され、
「怒り」を封じ込められ、
仮に「怒り」を持つとしても、
それは女性を被差別的な立場に追い込んでいる制度そのものに対してではなく、
同じ女性に対して怒りを抱くような「内ゲバ」が
制度そのものに内包されている、言うなれば地獄。
差別されている女性が、さらに女性を差別するという二重の差別構造です。


『レベル16 服従の少女たち』という映画は、
架空の施設を描いているように見えて、
実は実社会において女性が置かれている立場、
女性を支配してきた差別的な社会構造を描いている、
私はそう思いました。

ネタバレはしたくないのでぼんやりと書きますが、
そもそも彼女たちが監禁されている理由そのものも、
「女性らしさ」に起因しているんですよね。

私は、「女性らしさ」のすべてが強要されたものだとは思っていません。
たとえば、
メイクをすることを女性は強要されている、
だから、女性全員がメイクをすることを拒絶するノーメイクデーを作ろう、
なんて主張は大嫌いです。
だって、私はメイクするのが大好きだから。
メイクをすることを自分で選んでいるから。

いやいやいや、自分で選んでいるように見えて
実は気づかないうちに強制されているんだよ!!!
っていうツッコミもあるかもしれませんが、
そのツッコミ自体、
女性は自分で考える頭もないという差別的な先入観に基づいていますよね。

今の女性はそこまでバカじゃないと思います。
問題は、
女性でも男性でも、それ以外の性の人にでも、
何でもその人の自由に合わせて選べる選択肢が与えられている環境を作り上げることですよね。

メイクをして仕事に行きたい人はしていけばいいし、
したくない人はしないで行ってもいい、
どちらを選んでも批判されないような、
どちらか一方に全員習え!ってなるような
同調圧力が発生しないような世の中を作り上げることが
誰にとっても暮らしやすい社会なんじゃないのかな。

とまあ、
月曜の昼間からいろいろ考えた次第です。

ほんでは、また!



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ギルバート・グレイプ【ジョニー・デップ目的で観たら、ディカプリオに釘付けになったの巻】 [好き放題の映画レビュー]

こんにちは!

今さらながら、
『ギルバート・グレイプ』を観ました。
1993年のアメリカ映画ですから、
30年前の映画ですね。



何で今回『ギルバート・グレイプ』を観たかというと、
私、ジョニー・デップが嫌いなんです。
いや、『シザーハンズ』のころは好きでした。



『スリーピー・ホロウ』『スウィーニー・トッド』も好きでした。
(おまえ、ティム・バートン好きなだけやないか!)



でも、
『パイレーツ・オブ・カリビアン』以降のジョニー・デップが本当に嫌いで、
しかも、
プライベートでも若い女優と結婚して、
しかもなんか騙されて最後捨てられたという印象。
(あくまでも印象なので間違ってたらごめんなさい)

まあ、プライベートはともかくも、
『パイレーツ・オブ・カリビアン』のあの演技がすごく嫌いなんですよね。
わざとらしい感じがして。
これはもう好き嫌いの問題なので、
あの映画がとても人気があることは重々承知です。
そもそも私はディズニー映画の大半が嫌いなので、
ちょっと変わり者なんだと思ってそっとしておいてください。

じゃあ、なんで今回わざわざジョニー・デップの映画を観たのかというと、
現在公開中の『グッバイ、リチャード!』がとてもいいという噂を聞いたんです。



末期がんに冒された大学教授が自暴自棄になる物語。
海賊役じゃない!
先に観た友だちも勧めてくる!

そこで、
いまいちどジョニー・デップという俳優について考え直すべく、
今まで最後まできちんと観たことのなかった
名作『ギルバート・グレイプ』を改めて最初から観直してみたわけです。

そうしましたら・・・・・・

ディカプリオすげえええええええ!!!!!

この作品でディカプリオはアカデミー賞助演男優賞にノミネートされましたが、
そりゃもう納得ですよ。
知的障害のある少年を演じていますが、
なんだこのリアル。
もちろん、映画の中のリアルなので現実世界のリアルとはまたちょっと違いますが、
映画を観ている側からすると、
ものすごく自然に、そして生き生きと知的障害のある少年を演じています。
「生き生きと知的障害のある少年」という表現はおかしいかもしれませんが、
なんというか、悲壮感を感じないんですよね。
お涙頂戴の演技になっていない
障害があることがアーニーにとっての当たり前だし、人生なわけで、
その人生をアーニーはアーニーで、
必死に生き、楽しみ、そして色々考えているわけです。
障害がある人を、健常者である私たちは安易に「かわいそう」と思いがちだけれど、
アーニー自身は「かわいそう」な人生を送っていない、
仮に「かわいそう」と思うにしても、
そう思うのは他人の勝手な判断であって、
アーニー自身が「かわいそう」なわけではないのです。

私はもともとディカプリオ大好きなんですけれど、 改めて大好きになりました!!!!

あ、ジョニー・デップの話でしたね、そうでしたね。
んー。
まあ、とにかく美しかったです。
間違いなく正統派美青年です。

ジョニー・デップが演じている主人公のギルバート・グレイプは、
狭い田舎町に閉じ込められ、鬱屈とした日々を送っています。
父親は自殺し、
母親はそのショックで引きこもりの過食症となり、
推定150キロ強の巨漢となってしまいました。

弟のアーニーには障害があるので
とにかく手が掛かります。
ちょっと目を離すと高いところに登ってしまいます。
ギルバートが働いているのは寂れた小さな商店ですが、
アーニーを連れて仕事することに理解があるため、
他の仕事を見つけたくても見つけられない状況です。

つまり、
ギルバートは家族のために生きており、
彼には自由な選択権などないのです。
彼の住んでいるオハイオ州の小さな街は、
障害のある弟を持つ彼を決して差別したり、疎外したりはしないけれど、
それは同時に、彼が街から離れる理由を奪ってもいるのです。

ギルバートは、
トレーラーで移動しながら生活している女の子と知り合ったことで、
少しずつ変化していきますが、
ジョニー・デップがこの難しい役を十二分に演じ切れていたかというと、
ディカプリオはアカデミー賞にノミネートされたけれど、
ジョニー・デップはされなかった、
そこにその答えは表れているのだと思います。

『シザー・ハンズ』では哀愁漂う演技をしていたような記憶があるので、
役によって合う、合わないのがあるのかもしれませんね。

あ、ちなみに『ギルバート・グレイプ』には、
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに出ていた俳優さんが2人出ています!
マーティー少年のお父さんを演じていたクリスピン・グローヴァーと、
ドクと結婚することになるクララを演じていた、
メアリー・スティーンバージェンです。
BTTF好きは「おっ!?」と思いますよ、きっと!

というわけで、
『グッバイ、リチャード!』を観に行くかはまだ決めていません。
というか、暑すぎて外出られないんですけど。
なんとかしてくれ、この暑さ。

ほんでは、また!


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  • 発売日: 2020/08/30
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Viva! 公務員【イタリア初のコメディ。意地でも公務員やめたくない vs 絶対早期退職させてやる ファイッ】 [好き放題の映画レビュー]

みなさん、こんにちは!

Twitterで回ってきた映画が面白そうだったので、
観てみました。
『Viva! 公務員』というイタリア映画です。



子どものころからの夢を叶えて、
公務員になったケッコ
公務員の仕事は最高!
市民から賄賂(付け届け?)はもらえるし、
女からモテるし、
老後の生活も安泰。
もう絶対公務員やめられない!

と思っていたら、
行政改革で公務員の大削減が始まった。
リストラを担当している部長は、
僻地を異動先として提示し、
移動するか、上乗せした退職金をもらって今すぐ退職するかを迫り、
1000人以上の退職者を確保。
だけれど、
最後の1人、ケッコがどうしても辞めない。
ド田舎に異動させても、
窓際に追いやっても、
退職金をどんどん上乗せしても、
意地でも公務員を辞めない。

ケッコはケッコで、
妻帯者ならリストラされないと聞いて、
結婚する気もなかった彼女にプロポーズしてみたり、
公務員の職を失うまいと必死に抵抗

部長はついにケッコを北極に異動させるが、
北極でケッコの仕事のパートナーとなった女性が、
そりゃもうかわいくて、
ケッコは北極ライフを楽しみ始めます。
ケッコが恋に奮闘する一方で、
部長はケッコを退職させるべく、
次の手段を考えていきます
・・・・・・というお話。
コメディ映画です。


まず、ケッコという男、
とにかくブサイク!
失礼かもしれませんが、あの男性はイタリアでもブサイクですよね?
38歳という設定になっていますが、
めっちゃくちゃハゲてるし、腹も出てる
イタリア人男性ならハゲててもかっこいい人多そうですけど、
ケッコはかっこよくないハゲです(断言)

おそらく、
ブサイクでモテない風貌のケッコが、
公務員であることに固執しつつ、
美女に対して恋愛模様を繰り広げるというところに、
この映画の基本的な面白さがあると思います。
違ったらごめんなさい。
イタリアではあれはイケメン枠だったらごめんなさい。
でもきっと違う。

まあ、ともかくも、
イタリアでもやっぱり公務員はおいしい職業なんですね。
ただ書類に判子を押してるだけで給料が入る仕事。
そりゃ辞められませんわ。

若い頃は、公務員になりたい気持ちが分かりませんでした。
つまらない仕事をする人生でいいのか、
そう思っていました。
でも、今なら分かります。
仕事をすべき時間には黙々と仕事をして、
労働に対する正当な対価をもらって、
そして余暇に思いっきり自分の好きなことをする。
その方がよっぽど効率がいいって、今は思っています。

好きなことを仕事にする
それに若い頃は憧れますよね。
でも、実際好きなことを仕事にできる人なんてほんの一握りだし、
仮に好きなことを仕事にしても、
十分な報酬を得られるとも限らない。
「好きだから」ってことを言い訳にして薄給に耐える、
そんな人、今の日本に山ほどいるんじゃないですか?

今の日本は、労働に対して正当な報酬がなかなか与えられていないと思っています。
だったら、できるだけ楽な仕事を選ぶのが利口な生き方でしょう。
もちろん、
日本の公務員が楽だと言っているわけではありません。
身内に公務員がいるから分かります。
でも、
同じ仕事をした場合、
公務員の方がまだきちんと給料が支払われているのではないでしょうか。
サービス残業の可能性も少ないのではないでしょうか。
とりあえずうちの身内の場合はそうです。
民間からの転職組なので待遇の差は歴然としていました。
しかも、給料は年功序列で確実に上がっていきます。
だったら公務員の方がいいって、今の私は思います。
ああ、でも、学校の先生はまた別です。
公務員だけれども、本当に激務。
学校の先生の労働環境はすぐにでも改善すべきだし、
給料も倍にしてあげてください。

とまあ、ケッコが公務員にしがみつく気持ちがよく分かりました。
夢がない?
そうですね、夢を見るには金が要るし、
今の世の中は、夢を見るのもなかなか難しい
そう思います。

では、この辺で!


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ベイビー・ドライバー【車好き&音楽好きに絶対観てほしい。最初の10分観たら釘付けになること間違いなし】 [好き放題の映画レビュー]

こんにちは!

毎日ブログを更新するという誓いを
たった一日で破りました!
すんませんでしたー!

さて、
今日は大好きな映画を紹介したいと思います。
『ベイビー・ドライバー』です。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』を撮った、
エドガー・ライト監督の作品です。



ああああ、
もう好きすぎて、何度観たか分かりません。

主人公は「ベイビー」と名乗る青年。
彼は天才的なドライブテクニックを持っています。
顔に傷があり、いつもイヤフォンで音楽を聴いている彼は、
強盗が逃走する際のドライバーとして金を稼いでいます。
つまりまあ、犯罪の片棒を担いで暮らしているわけです。

顔の傷と、いつも音楽を聴いている理由は、
幼いころに遭った交通事故に関係しています。
事故の後遺症で耳鳴りが止まない彼は、
音楽を聴くことでその耳鳴りをごまかしているのです。

交通事故で両親を失ったベイビーは、
養父に引き取られましたが、
借金の返済のために強盗団のドライバーとして働いてます。
そんな彼がダイナーでデボラという女の子と出会い、恋に落ちます。

借金を返済し終えて、足を洗ったベイビーは、
デボラと共に平穏な日々を送ろうとしていたのですが、
再び犯罪に巻き込まれていく・・・・・・というお話です。

まず、声を大にして言いたい。
ベイビーがあまりにも魅力的すぎる!


ベイビー好きだあああああああ!


映画を面白くする要素って、やっぱりキャラクターですよね。
物語それ自体の筋も大切ですが、
たとえ筋が平凡であってもキャラクターが魅力的だったら、
それなりに成立してしまうものです。


で、ベイビーはとにかく魅力的。
大好き!
まず、そのドライブテクニック。
私はもともと車が好きなのですが、
特に車が好きじゃなくてもしびれると思います。
そう、「しびれる」という表現がビッタンコ!
心臓が苦しくなるレベルでかっこいい。


そして、その頭脳と性格
ほとんど人に心を許さず、
強盗のミーティングに参加していても、
仏頂面で座っているだけ。
でも、「おまえ、ちゃんと聞いてたんか、ああん?」とすごまれると、
スラスラスラと計画を完璧に復唱してしまう。
やだもう、好き!
かっこい!!!!


人に心を許さないと言いましたが、
養父は別。
ベイビーの養父は目が不自由な黒人男性なのですが、
家にいるときにベイビーは、
優しくておちゃめで、ほんまかわいい!
端的に言うと、
抱いてほしい!!!!


そんなベイビーを演じているのは、
アンセル・エルゴートです。
日本ではあまり名前を知られていませんが、
いやもう、やべえです。
めっちゃかっこいいです。
アンセル・エルゴートの顔だけ見て、
え、そんなにかっこいいとは思わないんですけどって思う人は、
彼が演じているところを一度観てほしい。
印象が絶対に変わります。

アンセル・エルゴートが出演している別の作品として、
『きっと、星のせいじゃない。』があります。

きっと、星のせいじゃない。(字幕版)

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『きっと、星のせいじゃない。』は、いわゆる【難病もの】で、
【難病もの】が苦手な私は、
アンセル・エルゴートが出ていなければ観なかったと思います。
主人公ががん患者という設定に、
最初は斜に構えて観ていたのですが、
やっぱり、アンセル・エルゴートええわああああ!


主人公はアンセル・エルゴートではありません。
アンセル・エルゴートは、末期がんの主人公が出会う、
かつて骨肉腫で片足を切断した青年として登場します。
最初は、そんなに魅力を感じないんですよ。


でも、物語が進むにつれて、どんどん魅力的に感じられるんです。
主人公の女の子が彼に惹かれていくように、
映画を観ている私も、どんどん彼に惹かれていくんです!
役者として素晴らしいと思いませんか?
素晴らしい役者は、演じているときこそ輝くんです。
かっこいいんです!
だから、
アンセル・エルゴートの政治画像を見て
「別にかっこよくないやん」
って思っても構いません。
とにかく、彼が演じているところを観てください。


『ベイビー・ドライバー』に話を戻しますが、
デボラを演じているのは、
リリー・ジェームズ。
フランキーじゃないです。
フランキーはおっさんだけど、
リリー・ジェームズはめちゃくちゃかわいいです。
ディズニーの実写版『シンデレラ』を演じたと言うと
分かる人多いのかな。
私はディズニー映画が嫌いなので観ていません。
私のお気に入りは、『イエスタデイ』

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そして、ケヴィン・スペイシーも出ています。
ケヴィン・スペイシーは、セクハラ問題で干されているようですが、
その後どうなったのかな。
大好きな俳優なんですけどね。


ともかくも、
『ベイビー・ドライバー』、
まずはだまされたと思って冒頭の10分だけでいいから観てください
とにかくやべえから。
引き込まれるから。
クソかっこいいから。
私は、録画してある『ベイビー・ドライバー』、
最初の10分だけ観ることあります。
何回も観てるのに、毎回震えます。
かっこよすぎて、震えます。


車と音楽が好きな人なら、絶対にはまる映画です。
いや、車か音楽、どっちかだけでも好きなら観てみてください。
最の高ですから!


音楽が気に入ったら、サントラを買うのもオススメ。
最近はみんなサブスク使っててCDなんて買わないのかな。
私はいまだにアルバム単位で買うのが好きなんですよね。
デジタル音源で購入することもあるけれど、
基本はアルバム単位で聴きたい派です。

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では、このへんで。
また明日!かな。
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バグダッド・カフェ(ニュー・ディレクターズ・カット版) [好き放題の映画レビュー]

お久しぶりです。
りんごっちです。

いつぶり・・・・・・?
まあ人生色々あって、コロナで失職したりもして、
そんなこんなで生きています。

大好きな香港のことも、
本当は語らなければいけないですよね。
でも、簡単に語ることでもないので、
今はやめておきます。

とりあえず時間ができたので、
毎日映画を観て、
毎日必ずブログに書こうかと考えています。

で、今日は『バグダッド・カフェ』
1987年製作の映画で、日本公開は1989年だということなので、
もう30年以上前の作品なんですね。
私も、20年前に観たっきりでした。



ラスベガスを目指して車を走らせていたドイツ人夫婦
二人は、荒れ果てた砂漠地帯には不似合いなスーツ姿です。
何が原因か大げんかとなり、
夫はその場に妻を残したまま、車を走らせていってしまいます。
下手したら妻、死ぬぞ・・・・・・?

その場に取り残されたのが、
ドイツ人のヤスミン・ムンシュテットナー。
非常に豊満(つまりデブ)な女性で、
鳥の羽根飾りのついた緑色の帽子をかぶり、
上下しっかりとスーツを着ているので、
そりゃもう汗だくです。

夫に放置されてしまったので、
暑い中を歩いてやっとたどり着いたのがバグダッド・カフェ。
カフェとモーテル、ガソリンスタンドを経営している、
アメリカ映画でよく見るあの手のタイプの店です。

バグダッド・カフェを切り盛りしているのは、
女主人のブレンダ
黒人女性です。
おそらくインディアン系と思われる従業員・カヘンガはいるものの、
夫のサル(猿ではない)は役立たずで、
コーヒーマシン壊れたから買ってこいって言ってるのに、
出掛けるたびに忘れて帰ってくる唐変木です。

ブレンダの息子・サロモは、
かつて結婚していたことがあるものの、
嫁は赤ん坊を置いて出て行ってしまいました。
赤ん坊はギャンギャン泣いているのに、
サロモの夢はピアニストになること。
ギャンギャン泣いてる横で延々とピアノを練習。
うるせえ、あああああああ、うるせえ!
ブレンダのイライラは募ります。

ブレンダには娘もいるのですが、
娘のフィリスは発情期、いや、思春期真っ盛りで、
男の尻を追い回すことしか考えていません。
うぜえ、ああああああああああ、うぜえええええ!
ブレンダの怒りは頂点に達しようとしています。

そんなところに
謎の外国人・ヤスミンが現れて部屋を貸してくれなんていうもんだから、
ハアアアアアア? なんじゃこの外国人は!
怪しいことこの上ないじゃろがああああああい!

と、
もう不信感丸出しで接客します。
カスタマーファーストなんて概念、皆無です。

ところが、
このヤスミンがバグダッド・カフェに関わる人と交流を重ねることによって、
自然と人々の心が和らいでいき、
それまで閑古鳥が鳴いていたバグダッド・カフェに
多くの客が集うようになる・・・・・・・・
それがこの映画の大まかなストーリーです。



20年ぶりに観たので、全くストーリーは覚えていませんでした。
さらに、20年前にどういう感想を持ったのかも、
全く覚えていません。
ですので、初見のつもりで感想を書いていきます。

まず面白いなと思ったのは、
この映画、アメリカ映画じゃないんですよね。
西ドイツで作られた映画なんです。
つまり、そういう点ではヤスミン側の視点で作られた作品であるということ。
言い換えれば、
ドイツ側から観たアメリカを描いている作品なんです。

当時のことを詳しく調べずに書きますが、
1987年はまだドイツは東西に分裂していました。
西ドイツ、東ドイツという言葉を知らない若い方も多いでしょうが、
冷戦によってドイツは東西に分裂していたんですね。
アメリカを中心とした資本主義陣営側についていたのが西ドイツで、
ソ連を中心とした共産主義陣営側が東ドイツでした。

私はドイツに2回行ったことがあって、
もちろん、ベルリンの壁が崩壊したあとではあるんですが、
うっかり間違えて旧東ドイツ側の駅で降りてしまったとき、
旧西ドイツとは空気感が違うことに驚きました。
あ、やばい、って思ったんですね。
もう20年も前のことなので、
今のドイツは状況もだいぶ異なっているでしょうが、
旧東ドイツ側は発展が遅れているというのを
肌で感じた瞬間でした。

東西に分かれていた時代のドイツを舞台にしていると言えば、
萩尾望都の『ポーの一族』の「小鳥の巣」があります。


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髪を切らずにいる生徒を先生が注意したら、
東西統一の願掛けをしているから切れない、
そう答えるシーンがあります。
キリアンという名の少年は、
東ドイツから西ドイツに逃げてきて、
東側に残した家族がどうなっているのか分からないでいます。

東側は市民に対する締め付けも強く、
生活も決して楽ではなかったようですが、
西側に暮らす人たちも決して安穏としていたわけではない、
「小鳥の巣」を読むとそれが分かります。


僕たちは希望という名の列車に乗った(字幕版)

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東ドイツの様子が分かる映画です。おすすめ。

当時のドイツがそんな状況に置かれていたことを考えると、
ヤスミン夫妻にとって、
アメリカはある意味、
【希望の地】として位置付けられていた可能性も
十分に考えられるでしょう。
ところが、そのゴール、
桃源郷の象徴であるディズニーランド、
あるいはラスベガスに到着することなく、
ヤスミンは夫に置き去りにされてしまうのです。

一方、バグダッド・カフェの女主人ブレンダは、
あまりに役立たずの夫を追い出してしまいます
元々役立たずなので、
いなくなっても仕事にたいした支障はないのですが、
だからといってブレンダが傷付いていないはずはありません。

そんなヤスミンとブレンダが出会うことにより、
物語が動き出します。

ポイントは、ヤスミンもブレンダも、
どちらもアメリカではマージナルな存在であるということ。
ヤスミンは外国人だし、
ブレンダは黒人。
どちらも言ってみれば【余計者】なんです。

しかも、ヤスミンはデブ。
めちゃくちゃデブ
言うまでもなく、
アメリカ文化が作り出す理想の女性像は、
基本的にスリムな女性です。
スリムかつグラマー。
言っとくけど、デブはグラマーとは違う。
そういう点でも、ヤスミンはマージナルな存在なわけです。

しかも、
ヤスミンの夫、最初はヤスミンを探していたものの、
あっという間に探すのやめてますよね?
夫はヤスミンよりも先にバグダッド・カフェにやってきていて、
「妻は来てないかね、デブ、デブの女や」と、
片言の英語で尋ねてはいるのですが、
コーヒーを飲んだら満足して帰っちゃってるんです。
ここがとても面白いし、象徴的なんですが、
夫はバグダッド・カフェでコーヒーを注文します。
でも、コーヒーマシンは壊れているから出てきません。
そこに、サルが帰ってきて、
道に放置されていたのを拾ってきた魔法瓶に入っていたコーヒーを
夫に出します。
飲んだ夫は「おいしい!」と大満足。

でもね、この魔法瓶、
そもそも、ヤスミン夫妻が持っていたものなんです。
つまり、中に入っていたコーヒーはヤスミンが作った可能性が高い
ということなんです。
妻を探していたはずの夫が、
コーヒーを飲んだら満足して妻を探すの忘れちゃってて、
しかも、そのコーヒーが妻が作ったものだと気づかない、
これ、ダメ夫の典型じゃないですか。
言い換えれば、
夫が求めていたのはヤスミンが作るコーヒー、
あるいはコーヒーを作ることのできる妻であって、
ヤスミンそれ自身には対して興味がなかった
ということなのです。

ああ、夫婦あるある・・・・・・
妻が夫に抱く不満あるある・・・・・・!

しかし、ヤスミンはバグダッド・カフェでどんどん変化していきます。
すごいなあと思うのは、
最初ヤスミンが出てきたとき、
正直、不快なレベルで醜いんですね。
絵面汚ねえ
そう思うレベルです。

なのに、どんどんヤスミンは魅力的になっていきます。
女性としての輝きを取り戻していくんですね。

詳しくは語られませんが、
どうやらヤスミンは子どもが産めない体のようです。
このことが夫の関係に何か影響を与えていたかは分かりませんが、
30年前の作品であることを考えると、
「母親になれないこと」をハンディキャップとして
捉える女性が多かったであろうこと、
社会的にそういう風潮であったことが容易に推測できます。
悪い表現ですが、
女として、妻として半人前と見なされていたとも言えるでしょう。

ですが、バグダッド・カフェに来たヤスミンは、
そういう妻や母親といった役割からは解放されるのです。
ヤスミンの存在によってブレンダも変化を遂げていきますが、
ブレンダの方は、夫と仲直りすることになります。
夫を捨ててアメリカに残ることを決めたヤスミン、
夫と共に生きていくことを決めたブレンダ、
どちらも、自分でその生き方を決めています。
「母」にしろ「妻」にしろ、
その役割が固定的なもので、
なおかつその固定的な役割を強制されるから、
女は生きづらいんですよね。
ヤスミンもブレンダも、
自分で「母」の形、「妻」の形を決め直して、
そしてその役割を引き受ける決意をしたので、
前よりも生きやすくなったはずです。

最後に。
面白いなあと思ったのが、
バグダッド・カフェに最初に現れたときのヤスミン、
ちょっとメアリー・ポピンズみたいなファッションですよね。
・・・・・と思ったら、すでに指摘してる人いましたね。
メアリー・ポピンズが奇跡を運んできたように、
ヤスミンもまたバグダッド・カフェに奇跡を運んできたのかな、
とも読めますが、
ヤスミンは単にきっかけを与えただけ
ブレンダも、その他のバグダッド・カフェに関わる人たちも、
すべて自分で選んで決めて、自ら動いて現実を変えた、
そう思います。

メアリー・ポピンズの魔法がなくたって人は変われる
そう思った方が人生楽しいですもんね。
そして、
ディズニーランドの一歩手前に、
私たちが素手でつかむことのできる、
等身大のパラダイスがあるんですよ。

では、今日はこの辺で。
明日はお出かけなので映画は観ないです〜!
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