シングルマン [好き放題の映画レビュー]

こんにちは! 腐りかけのりんごです!



少し久しぶりの更新となります。


今週は久しぶりの長雨でしたね。
乾燥しがちな季節だから、
たまには雨もいいかなあと思ったのですが、
ババアの乾燥した肌は雨ぐらいじゃ潤いませんでした。


風呂上がりは、ボディクリームやらオイルやらを
塗って塗って塗って塗って塗りまくり〜です。
おばあちゃんになるともっと乾燥するって言いますよね。
おそろしや〜。



さて、それはともかくも、映画を観ました!
『シングルマン』です。



私は、コリン・ファースが大好きです!
ご多分に漏れず、ファンになったきっかけは
『ブリジット・ジョーンズの日記』ですが、





もともと、
ブリティッシュ訛りの英語を話す男性が大好き
というド変態な事もあって、
以来、コリン・ファースからは目が離せません!



が、この『シングルマン』は観るのを
うっかり忘れておりまして、
なぜ忘れていたかというと、
この映画は2009年公開のアメリカ映画なんですが、
当時、コーエン兄弟の『シリアスマン』
公開されていて、



どっちがどっちだかよう分からんことになってきて、
結局『シリアスマン』を観て、
なんだか両方観たような気になってしまっていたのです。



コリン・ファース・・・・・・・すまん・・・・・・・('A`)



というわけで、公開から随分時間が経ってしまいましたが、
やっと観ることができました!
とてもいい映画だったので、ご紹介しますね!



1960年代初頭のロサンゼルス。
冷戦の緊張が高まり、アメリカ国内では
核による攻撃を受ける事態を懸念する風潮が
高まっていました。


大学で文学を教授するジョージは、
長年付き合った恋人・ジム
8ヶ月前に交通事故で亡くしました。


ゲイカップル故に、葬式に参加することも許されず、
ジョージがジムを喪った悲しみを吐き出すことができるのは、
古くからの女友だち・チャーリーでした。


8ヶ月ものあいだ、
ジョージはジムを喪った悲しみに耐え、
皆が求める”完璧なジョージ”を演じ続けてきました。
が、そんな日々を終えることを決心し、
ジョージは死ぬことにします。


こうして、ジョージの最後の1日が始まりました・・・・・・・。



という物語です。
死を決意したジョージの朝から夜までの1日
を描いた、
派手ではないけれど、
とても丁寧に作られたドラマになっています。



実は、どんなストーリーかよく知らずに観たんです。
そうしたら、
あまりにテーマが重厚だし、
しかも、ものすごいいい映画だし、
生半可な気持ちで臨んじゃいかんな、これは!
と気付き、
もう一度最初から観なおしました。
今度は腰を入れて。



愛する人に先立たれた人は
その後どうやって生きるのか

ジョージは死を選びました。
なぜジョージは自殺することにしたのか、
もちろん、ジムを喪った悲しみ、孤独、絶望
といった感情はあったと思います。


が、私はそれ以上に、
ジョージの中で8ヶ月間掛けて作り上げられた罪悪感
それが最たる動機であろうと思いました。



ジョージがジムを心から愛していたことは間違いありません。
ジムの死は、
ジョージの魂を殺したと言ってもいいでしょう。
が、
生き残ったジョージは、
毎日毎日、新しい1日を過ごしていきます。
ジムにはもう重ねることのできない日々を、
ジョージは1つずつ積み重ねていきます。


最初は、”完璧なジョージ”を演じることは苦痛であったし、
それはあくまでも【演技】であったことでしょう。
が、8ヶ月間それを続けているうちに、
次第にそれが【演技】ではなくなってきたのです。



ジムが死んで、もうこの世は終わりだと思った、
が、実際この世は終わらないし、
自分は日に日にもとの日常を取り戻しつつある、
そのことがジョージには何よりも恐ろしかったし、
罪悪感を抱かせることになったのでしょう。


ジムを喪ったことから死を覚悟したジョージですが、
ちょっと好みの男性がいるとそちらに視線を向けてしまうし、
自分を慕ってくる教え子・ケニーの存在も、
憎からず思ってしまいます。
ジムに代わるパートナーはいない、
いるはずがない!!

そう思っているのに、
ジョージの心は新しいパートナーを求めているのです。



私は、このジョージの心を否定的には捉えません。
浮気心とか、心変わりとか、そういう風には思えないのです。
むしろ、8ヶ月という長い時間によって、
ジョージの死んだ魂が再び息を吹き返しはじめた
人間としては健康的な反応であろうと思います。



ですが、ジョージ自身は、
ジムが死んだことを受け入れてしまう自分
ジム以外の男性に目を向けてしまう自分
に恐怖心を抱き、
それはすなわち、ジムを忘れることなのではないかと、
罪悪感を抱いてしまいます。



私の大好きな萩尾望都の『トーマの心臓』に、
以下のようなことばが載せられています。



人は二度死ぬという  まず自己の死 
そしてのち 友人に忘れ去られることの死


ジョージは、自分がジムを忘れることが、
ジムに二度目の死を与えることになるのではないか、
そう考えて恐ろしくなったのでしょう。



二人の関係に理解を示していたチャーリーですら、
ジムの死をもはや過去のものとして語るように
なっています。
ジョージは、ジムの死を受け入れて平気になるよりは、
その前に死んでしまおう、
そう考えたのだと思います。



とは言え、
この自殺の動機は、言ってみればジョージのエゴです。
ジムがそれを望んでいるかどうかなんて、
分かるわけがありませんし、
結局ジョージは、生きていることの苦痛・罪悪感から
逃れたくて死を選んだのです。



さらに、
8ヶ月を長いとみるか短いとみるか、
それは人によって判断が異なるとは思いますが、
8ヶ月という時間の経過によって、
確実にジョージはジムの死を消化し、
ジムの死から乗り越えようとしていました。
ここには、人間の強さが表れています。
もう絶対に無理だ、そう思っても、
意外に人間の心は図太いのです。
ジムの死によってジョージの魂は死んだと書きましたが、
人間は肉体さえ生きていれば、
魂は再び息を吹き返すのです。
もちろん、そうでないこともありますけどね。



人間の健康的な図太さを表しているのが、
ジョージが死のうとして、
どこで、どの体勢で死のうか、
あれやこれやと試すシーンです。
この映画の中で、唯一ユーモラスなシーンになっています。


本当に死にたい、
生きる意志が完全に失われた人は、
後先考えずに、どんなに無様な恰好であろうと、
死を選ぶと思います。
死ぬベストな体勢を探してしまうジョージは、
やはり、本能的に生に対する執着が残っているのです。



ところで、
この映画はあのトム・フォードの初監督作品です。
トム・フォードといえば、
グッチやイブ・サンローランで活躍してきた、
超有名ファッションデザイナーです。


ファッションデザイナーが映画を撮ったときくと、
あまり期待しない人も多いと思います。
たしかに、
誰とは言いませんが、
ただオッサレ〜な画を撮りたいだけで、
ストーリーは二の次三の次になっている、
雰囲気映画を撮るファッション業界出身の監督もいます。
誰とは言っていませんからね!



でも、トム・フォードの『シングルマン』は違います。
たしかに、
コリン・ファースの着ているスーツは
ものすごい恰好いいのですが、
ファッション性が過剰に表に出てくる
ことはありません。
ちゃんと、
物語を描くことを最重要課題とし、
ファッションは物語を効果的に見せる小道具に撤しているのです。
雰囲気映画なんかじゃありません。



結局ジョージは無事に(?)死ぬことができたのか、
それはどうぞご覧になって確かめて下さい。
結末に賛否両論あるかもしれませんが、
私はこの結末でよかったと思います。



では、長くなりました。
本当はまだ色々書きたいのですが、
ここらでやめておこうと思います。
もう一本観た映画があるので、
そちらもまとめなければなりません!



では、今日も読んでくれてありがとう。
メルシーボークー!


↓今回は私もインスタントビデオで観ました!



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