接吻【人を理解し共感するとは狂気でしかないのか? 音信不通にされている今だからこそ、心に響いた傑作】 [好き放題の映画レビュー]

こんにちは!
ちょっとお久しぶりになってしまいました。

というのも、
私のTwitterアカウント(@ringo_movie)をフォローしてくれている方は
ご存じかもしれませんが、
男と突然音信不通になりまして、
一週間ショックで寝込んでおりました。

まあ、私は本当に男運がなくて、
変なのばっかりに掴まっちゃってるんですね。
にしても、突然音信不通は初めてのことで、
今、彼が私のことをどう思ってるのか、
もう別れたつもりなのか、
今後どうするつもりなのか、
全く答えが出ない問いを延々と頭の中で繰り返した一週間でした。

もう半分病人みたいなもので、
ご飯もろくに食べられないから結構痩せたし、
そんな半死半生の状態の中、
TSUTAYAから電話がありました。
以前取り寄せを依頼していたDVDが届いたぞ、と。

それが今回ご紹介する『接吻』なのですが、
この映画の存在を知ったのは、Twitterで流れてきたとある方のTweetでした。
無断引用もよくないのかなと思うので引用しませんが、
小池栄子の女優としての力量を褒めるとともに、
この映画が、DVDも絶版となり、配信もしていないので
幻の作品となってしまっていることを嘆いていらっしゃいました。

観られないと言われると観たくなるのが人の性です。
さっそく、予告編を観てみました。



ああ・・・・・・これは気になる。
確かに、アマプラもU-nextも配信はしていません。
でもね、
こういうときこそ、基本に帰りましょう。
TSUTAYAでDVDを借りてくればいいんです。
私の家の近くのTSUTAYAには在庫がなかったので、
取り寄せを頼みました。
最近は配信で映画を観る人が多いようですが、
やっぱりDVDレンタルが役に立つこともあるし、
そういえば、渋谷のTSUTAYAではVHSのレンタルを始めたらしいですよね。
DVD化されていない映画を観るには、VHSもやっぱり必要です。
我が家には、そのためにいまだにビデオデッキがありますから。

話が逸れました。
『接吻』のDVDが届いたので借りて観てみました。

【あらすじ】
地味なOLの京子は、同僚から仕事を押しつけられても文句が言えません。
何が楽しくて生きてるんだろう、周りは京子のことをそう見ています。
ある日、まったく縁もゆかりもない一家3人を皆殺しにした凶悪犯・坂口が逮捕されます。
坂口は黙秘を続け、なぜ殺したのか動機も何も語らず、
ただ死刑になることを願います。
京子はテレビに映った坂口の顔を見て親近感を感じ、
国選弁護士の長谷川を通じて、坂口に差し入れをし、手紙を書き、交流を重ねていきます・・・・・・。

【感想】
すごい映画でした。
男に音信不通にされている私には、ガンガン響くものがありました。
まず、坂口に共感する京子には狂気を感じます。
あなたを分かるのは私だけ、私とあなたはわかり合うために生まれてきた、
そんな京子の必死な態度は、正直、異常です。
確かに、凶悪犯である坂口にも人の心はあるし、情状酌量の余地もあります。
しかし、
京子は、本来京子とは全く関係のないはずの坂口の殺人を、
自分のために行った行為であるかのように錯覚し、意味を与えてしまっています。
京子は常に「私たち」という人称を用いて語るようになりますが、
どんなに京子と坂口の境遇が似ていても、理解しえる関係であったとしても、
本来は別の人間であるという、自我の境界を見失うようになっています。

孤独に生きてきた坂口にとって、
京子の存在は救いとなります。
事件に対する後悔の念を抱くようになり、人間としての「まともさ」を取り戻すようになります。
ですが、
その変化を京子は嫌います。
京子は、坂口を愛していながら、坂口の死刑を願っているのです。
坂口の死があたかも自分の死でもあるように思い、
そうやって二人がこの世から姿を消すことを、
まるでこの世に対する復讐のように思っているのです。
ですが、それは坂口の成長を嫌うことでもあり、
坂口を束縛し、自分のものにするエゴイスティックな欲望でしかないのです。

ネタバレはしません。

私がこの映画を観ていて思ったのが、
人を理解するってどういうことなんだろう、ということでした。
男に音信不通にされて、
私はそれでも彼を憎めず、彼の行為に意味を与えようとしました。
彼の気持ちを理解しようと努めました。

でも、それって結局、
私の中に、私にとって都合のいい彼を作り上げているだけで、
本当の彼から目を背けているのではないか、そう思うようになりました。

私は本当に男に甘いので、
かなりひどいことをされても許してしまいます。
そのため、結構な確率で男は戻ってきます。
だって、居心地いいですから。
今回の男も戻ってくるような気もしているのですが、
戻ってきたとき、私は「彼を理解できていた自分」に酔うような気がします。
彼の中にある卑怯さ、私を雑に扱う自分勝手さを否定し、
彼にセンチメンタルな弱さや若さを当てはめて、
彼の行為を正当化し、許せる自分も正当化するでしょう。

でも、違いますよね。
私は都合のいいように彼の気持ちを作り上げ、
彼からすれば責められないことが都合がいい、
そうやって二人とも現実から目を背け、
まるでソウルメイトであるかのように「美しい物語」を作り上げるだけなんですよね。
欺瞞でしかありません。
私が今、見るべき事実は、
待ち合わせの場所に着こうとしている段階でドタキャンされ、
それ以降、一切私の連絡に応じない不誠実な男を信じていた、
それだけです。
彼が不誠実な人間になるまでには、
生い立ちやら何やら、色々経緯があったことでしょう。
でも、そんなの私には関係ありません。
そこまで面倒見てやる関係でもありません。
むしろ、私に見限られて当然の行為を彼はしたのです。

京子の狂気に満ちた姿を見て目が覚めました。

Twitter見ていただければ彼がどんな人だったか分かるとは思いますが、
まあ、思えば、最初から違和感はあったし、
こうなることは分かっていたように思います。
そんなにこだわる男でもないかなとも。
ただ、誕生日に22000円のモンベルのバックパックをあげたのに、
私の誕生日まで関係が続かなかったのは悔しい。
マジ金返してほしいわ。
6/3生まれで誕生日にモンベルのバックパックもらったって言ってる男がいたら、
私に連絡して金返すように伝えてくださいね。

まあ、そんなこんなで立ち直りました。
そのうち連絡来るでしょう。
来たら来たで、どうするか考えます。

あ、ちなみに、この映画、
『誕生日はもう来ない』を観ていたら思わずニヤリとしてしまうシーンがあります。
いや、作り手側はまったくそんな意図ないと思いますけどね。


では、また!
今夜『TENET』観に行く予定ですが、
多分理解できなくてブログにはまとめられません!
さーせん!
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